講演情報

[03心-ポ-16]大学体育授業を通じたライフスキル獲得の心理的プロセス教員の欲求支援・阻害行動および基本的心理欲求の充足・不満を要因とした因果関係の推定

*藪中 佑樹1、亀谷 涼2、陳 昱龍3、土屋 裕睦4 (1. 京都先端科学大学健康医療学部、2. 流通科学大学商学部、3. 至誠館大学現代社会学部、4. 大阪体育大学スポーツ科学部)
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【背景】大学体育授業は学生のライフスキル(LS)獲得を促すとされているが、どのような心理的プロセスを経てLSが獲得されるのかは十分に検討されていない。そこで、本研究では自己決定理論やLDI/BNTモデルに基づき、教員の欲求支援・阻害行動や、大学体育授業における自律性、有能さ、関係性といった基本的心理欲求の充足・不満に着目し、LSとの因果関係について検討する。【方法】2波のパネル調査を2023年10月(第6週)と2024年1月(第15週)にかけて実施した。体育授業を受講しており、2回の調査に不備なく回答した大学生194名(平均年齢:18.9±0.9歳)を分析対象とした。調査内容は、日本語版欲求支援・阻害行動尺度(肖・戸山、2020)、The Japanese Version of BPNSFS(Nishimura and Suzuki、2016)の項目の一部を体育授業に適した表現に修正したもの、日常生活スキル尺度(「個人的スキル」「対人スキル」)(島本・石井、2006)であった。分析モデルは交差遅れ効果モデルを採用した。【結果】欲求阻害行動および基本的心理欲求の不満は「個人的スキル」や「対人スキル」と有意な相関が認められなかったため、分析モデルから除いた。「有能さへの欲求充足」から「個人的スキル」(β=.23、p<.01)、「関係性への欲求充足」から「対人スキル」(β=.12、p<.05)に正の影響が認められた。「対人スキル」から「自律性への欲求充足」(β=.21、p<.01)と「有能さの欲求充足」(β=.16、p<.05)に正の影響が認められた。【考察】大学体育授業において、有能さや関係性への欲求を充足がLS獲得に繋がることが示唆された。以上から、技能の上達や学生間の関係性の構築を促すなど、有能さや関係性への欲求を充足させる授業展開がLS獲得のために重要であると考えられる。

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