講演情報
[03心-ポ-20]競技場面における防衛的悲観主義の特徴不安関連要素からの検討
*川村 亮太1、菅生 貴之2、土屋 裕睦2 (1. 大阪体育大学大学院、2. 大阪体育大学)
競技場面において不安を動機として活用することで失敗のリスクに備え、高いパフォーマンスを発揮することが想定される防衛的悲観主義(Norem & Conter, 1986)が注目されている。一方で、防衛的悲観主義者が高い不安を持ちながらも高いパフォーマンスを発揮すると想定される一連のメカニズムについては不明瞭な点が多い。本研究では従来の研究において防衛的悲観主義と比較検討がされなかった真の悲観主義に着目し、競技特性不安、完全主義、不確実不耐性、練習の質の観点から防衛的悲観主義の特徴について検討することを目的とした。調査対象者はスポーツ競技経験のある大学生男女143名(平均年齢19.48±1.36歳)であった。認知的方略群を独立変数、競技特性不安、完全主義、不確実不耐性を従属変数として一要因分散分析を行った。また、方略ごとの変数間の関係を検討するためにSpearmanの相関分析を行った。その結果、競技特性不安、完全主義の完全主性追求・ミスへのとらわれ、不確実不耐性は悲観主義が楽観主義より有意に高く、自己調整学習の自己効力感は防衛的悲観主義が真の悲観主義より有意に高かった。また、真の悲観主義では競技特性不安と完全主義のミスへのとらわれ、不確実不耐性の不確実に対する活動の抑制において有意な相関が認められたが、防衛的悲観主義では認められなかった。本研究では、防衛的悲観主義は真の悲観主義と同様に高い競技特性不安、完全主義、不確実不耐性を有していることが明らかとなった。また、真の悲観主義で相関が認められ、防衛的悲観主義では認められなかった項目が複数確認されたため、防衛的悲観主義と真の悲観主義は区別されるものであることが示された。今後はパフォーマンスに寄与するポジティブな要素を含めた検討が必要だと考えられる。
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