講演情報

[03心-ポ-26]中学校体育におけるフィードバックの認知と学習成果およびスポーツ参加意識との関連

*山本 浩二1、中須賀 巧2、島本 好平3、杉山 佳生4、尼子 尚公1 (1. 関西福祉大学、2. 兵庫教育大学、3. 法政大学、4. 九州大学)
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本研究では、フィードバック(以下「FB」)の認知と学習成果およびスポーツへの参加意識との関連を検討し、中学校学習指導要領における保健体育科の目標である、生徒の「生涯にわたって豊かなスポーツライフを営む資質や能力の育成」(文部科学省、2017)に果たすFBの役割について明らかにすることを目的とした。
 調査は、2023年2月に体育授業を受講した中学生377名(男子201名、女子176名)を対象に実施した。調査内容は、「FB認知測定尺度」(山本ほか、2022 肯定的FB:称賛・助言、否定的FB:授業態度に対する注意・運動技能に対する指摘)と「体育学習観尺度」(小野ほか、2022)を評価する項目群(以下「学習成果」:運動技術の習得、コミュニケーション能力の涵養、身体と運動に関する知識の修得、運動の魅力の感受、身体能力の向上)、運動・スポーツへの参加意識を評価する項目群(以下「スポーツ参加意識」:肯定的意識、否定的意識)であった。分析は、各調査内容の基本統計量の算出後、FBとスポーツ参加意識との直接的な関連と、両変数間に学習成果を媒介した間接的な関連を想定した分析モデルをもとに、性を要因とした共分散構造分析による多母集団同時分析を実施した。
 分析の結果、モデルの適合度はGFI=.91、AGFI=.84、CFI=.94、RMSEA=.07であり、それぞれ十分な値が得られた。次に、各FBからスポーツ参加意識の直接的な関連は男女ともに示されなかった。一方で、FBとスポーツ参加意識に学習成果が媒介する間接的な関連では、肯定的FBが学習成果に正の関連を、否定的FBが学習成果に負の関連をそれぞれ示していた。また、学習成果はスポーツ参加意識に正の関連を示していた(いずれもp<.05)。以上のことから、生徒のFBの認知の違いによって、学習成果・スポーツ参加意識への影響に差異が認められることが示唆された。

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