講演情報

[03心-ポ-30]スポーツチームにおける選手間の互恵性のタイプに関する探索的検討

*中嶋 希和1、雨宮 怜2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学)
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チームメイト間のソーシャルサポート(SS)の提供と受領の量がバランスを保っている状態:互恵状態は、アスリートの精神的健康に繋がることが報告されている(Hagiwara & Isogai, 2014)。しかしながら、従来の互恵状態の評価法は、SSの提供と受領の得点間の差分をもとに検討されており(福岡、1997)、選手が経験するSSの授受の多寡やそれに伴う選手の互恵状態の類型論的な検討は行われていない。本研究では大学生アスリートを対象に、選手間のSSの提供と受領の多寡やそれに伴う選手の互恵状態のタイプについて、探索的に検討を行うことを目的とした。調査対象者は、複数の大学で体育会部活動に所属するアスリート125名であった(男性74名、女性51名、平均年齢19.63、SD±1.21歳)。調査内容はスポーツチームにおけるSS提供・受領尺度(Hagiwara & Isogai, 2014)を用いた。Ward法による階層的クラスタ分析の結果、解釈可能な4つのクラスタが生成され、提供・受領が低いCL1「孤立型」、提供・受領が高いCL2「互恵型」、提供・受領が中程度のCL3「中間型」、提供が低く、受領が高いCL4「過剰利得型」とした。さらにクラスタを独立変数、SS提供・受領得点を従属変数とした一要因分散分析の結果、SS提供得点で主効果が有意であり(F(3, 121)=99.20, p<.001, η2=.711)、「孤立型」と「過剰利得型」間以外のCL間に有意な差が認められた。またSS受領得点においても、主効果が有意であり(F(3,121)=100.35, p<.001, η2=.622)、「互恵型」と「過剰利得型」間以外のすべてのCL間に有意差が認められた。 以上の結果から、スポーツチームにおける選手間の互恵状態は4タイプの類型化が可能であることが示された。今後それぞれのクラスタの特徴について、検討が求められる。

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