講演情報
[03心-ポ-34]薬剤師養成課程の初年次演習系体育授業における呼名が主観的コミュニケーションスキルに及ぼす影響
*今野 亮1、岡部 文武2、長久保 大樹1 (1. 明治薬科大学、2. 早稲田大学 スポーツ科学学術院)
令和4年度改訂版薬学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて,「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」10項目の一つに『コミュニケーション能力』が掲げられている.薬剤師は患者・生活者,医療者と共感的で良好なコミュニケーションをとり,的確で円滑な情報の共有,交換を通してその意思決定を支援することが求められているのである.しかし,実際の薬学生はコミュニケーションを苦手と自覚している学生は少なくない.したがって,対人コミュニケーションの初歩的段階として学生が他者に話しかけることに着目し,彼らのコミュニケーションスキルに資する知見を得ることは重要であると考えられる.そこで本研究の目的は,薬剤師養成課程の初年次演習系体育授業において学生がなまえを呼ばれることが彼らの主観的コミュニケーションスキル(SCS)に及ぼす影響を検討することとした.対象者は,薬学部1年生の体育授業履修者361名であった.調査項目は,教員,学生から呼名されること(教員呼名,学生呼名)はコミュニケーションをとる上で有効であったか,他者に呼名しようと思ったか(呼名意思),自身の授業受講後におけるSCSであった.受講後のSCSを従属変数,教員呼名,学生呼名,呼名意思をそれぞれ独立変数として重回帰分析を性別に実施した.男女ともに教員呼名から受講後SCS,学生呼名から呼名意思,呼名意思から受講後SCSに有意なパス係数が認められた.女子のみ,教員呼名から呼名意思に向けて弱いながらも有意なパスが確認された.標準編回帰係数から,呼名が受講後のSCSに及ぼす影響は女子より男子の方がより強いことが示された.また,呼名において受講後SCSに最も影響力が大きいのは,男子の教員呼名であった.以上より,薬学生は体育授業を通して呼ばれたいなまえを呼び合い,教員から呼名されることが彼らのSCSを高めることに繋がることが示唆された.
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