講演情報
[03心-ポ-37]野球のイップスに対する評価基準の実態把握自己評価と他者評価に着目して
*松田 晃二郎1、田村 雄志2、相羽 枝莉子3、甲斐 裕一4 (1. 城西大学、2. 福岡大学、3. 横浜国立大学、4. 日本経済大学)
スポーツ場面における既得の運動スキルが,多様な要因によって思うように遂行できなくなる運動障害を「イップス」と呼ぶ.野球,ゴルフ,クリケット等,種々のスポーツ種目において,イップスの症状を呈する選手の存在が報告されているが,イップスの評価基準については未だに確立されていない.それ故,先行研究では,選手自身の自己評価または他者による評価に依存して,被験者のサンプリングやイップスの評価が行われてきた.しかし,このような自己・他者の評価は,どのような基準で行われているのか,またはイップスに対する認識はどのようなものなのかを把握するための検討は,これまでほとんど行われていない.そこで本研究では,野球のイップスに着目し,イップスがどのように評価され,イップスに対してどのような認識がなされているのかを把握することを目的とした.方法については,Google Formsを用いたweb調査を実施した.分析対象者は,大学硬式野球部員218名 (平均年齢 (SD) = 19.05 (1.27) 歳) とした.調査の結果は,自分自身がイップスを発症していると評価する際の基準については「ボールを投げるのが怖い」「近い距離でも暴投してしまう」「ボールの投げ方が分からなくなった」等,他者がイップスを発症していると評価する際の基準については「投げる動作がスムーズではなく一回止まる」「キャッチボールでは普通に投げられているのに,ノックになった途端に変わってしまっていた」「ボールを置きにいって肘が下がっている」等,選手一人一人の固有の基準に基づいて評価されていることが明らかになった.さらに,イップスの症状に対する認識としても同様の回答が認められた.このような結果に鑑みると,イップスを評価する際に,選手自身の自己評価や他者による評価に依拠するのではなく,イップスの標準化された評価基準を確立していくことが求められる.
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