講演情報

[03心-ポ-49]継続的な心理サポートが心理的競技能力にどのような影響を及ぼすかエリートアスリートを対象として

*梶田 健斗1 (1. 株式会社Q'sfix)
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本研究では,メンタルトレーニング(SMT)を中心とした心理サポートの継続実施がエリートアスリートに与える影響について事例的に検討することを目的とする.本研究の対象は,A競技の実業団に所属する6名とし,20XX年8月〜20XX+2年3月を分析期間とする.本チームに対して,日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士による2日間の基礎講習を実施したのち,本研究者による継続的な心理サポートを実施した.心理面の評価は,心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)を使用し,全5回実施した.本研究では,DIPCA.3の結果と対象期間中の各試合の振り返りからSMT及び心理サポートによる心理的側面への影響を考察する.基礎講習は,競技力向上(試合での実力発揮・練習の質の向上)を目的とし,目標設定・リラクセーション&サイキングアップ・イメージ・集中力・プラス思考・セルフトーク・コミュニケーション・試合に対する心理的準備の8つの心理的スキルを中心に実技を交えて実施した.心理サポートは,週1回,対象者の練習拠点で実施し,上記の心理的スキルを中心とする講習及びワークシート形式での知識取得と練習・日常生活での継続的なトレーニングに向けた指導・助言を行なった.心理サポートの継続実施の結果,DIPCA.3の総合得点の平均値は向上した.因子ごとでは,精神の安定・集中と作戦能力では点数の向上が見られ,競技意欲と自信,協調性に変化は見られなかった.また,尺度別では,ほとんどの項目で向上しているが,闘争心と勝利意欲では低下が見られた.エリートアスリートのような高い心理的競技能力を持つアスリートへの継続的な心理サポートでは,心理的スキルの習得が進むにつれて点数が向上するだけでなく低下する項目がある可能性が示唆された.

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