講演情報

[03心-ポ-50]高校生アスリートにおける心理的能力に関する縦断的変化継続的に心理サポートを受けているアスリートを対象に

*前田 凌汰1、奈良岡 浩2、後藤 賢二1、幸田 剣1 (1. 和歌山県立医科大学 みらい医療推進センター げんき開発研究所、2. 浪岡ジュニアバドミントンクラブ)
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立谷ほか(2020)はトップアスリートに必要な心理的要素を測定するために、JISS競技心理検査(J-PATEA)を開発した。J-PATEAはトップアスリートのみならず、高校生アスリートの心理的能力や態度・行動の評価にも有効であるとされている。しかし、高校生アスリートに対して調査を実施した研究や、心理的能力の変化を縦断的に追跡した研究はほとんどみられない。【目的】本研究の目的は、継続的に心理サポートを受けている高校生アスリート14名を対象に、J-PATEAを用いて心理的能力に関する縦断的変化を明らかにすることであった。【方法】本研究の対象者は、全国大会優勝を目指しているチームの高校生アスリート14名であった。また、対象者は自己理解や実力発揮などを目的に継続的に心理サポートを受講していた。本研究では、X年4月とX +1年4月のJ-PATEAの3尺度、10因子の比較検討を行った。【結果】その結果、X +1年4月の得点はX年4月の得点と比べて、総合得点、3尺度(心理的スキル、自己理解、競技専心性)、8因子(自己コントロール、集中力、自信、一貫性、自己分析力、客観性、目標設定、モチベーション)が有意に高かった(p<.05)。また、2因子(イメージ、生活管理)において、X +1年4月の得点はX年4月の得点と比べて、有意に高い傾向が見られた(p<.10)。【考察】したがって、高校生アスリートの心理的能力は、1年間で10因子すべての項目が高まる可能性が示唆された。また、本研究の結果から、自己理解や実力発揮などを促すための心理サポートを実施することが、高校生アスリートの心理的能力を高める可能性が示された。立谷ほか(2020)も指摘しているように、今後はJ-PATEAの因子に影響を与えている要因や心理サポートプログラムを検討する必要がある。

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