講演情報

[03心-ポ-52]大学生アスリートの身体意識と反芻・省察に関する縦断的調査

*堀 彩夏1、高井 秀明1、篠原 秀典1 (1. 日本体育大学)
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大学生アスリートの反芻と省察の研究をみると、反芻はストレス反応と正の関連、省察はストレス反応と負の関連が示されており(Yamakoshi and Tsuchiya, 2016)、反芻の減弱と省察の促進は心理的適応に有効であると予想される。反芻や省察は比較的安定した特性で、変容させることは困難であると考えられているが(山越・土屋、2017)、反芻の変容を明らかにした研究もある(Haeffel and Hames, 2014)。本研究では、身体意識と反芻および省察に関する縦断的調査を実施し、身体意識および反芻、省察の変容について検討することを目的とする。大学生アスリート74名を対象に2ヶ月の期間をあけて2回の調査を実施した(Time1、Time2)。調査対象者には、Rumination-Reflection Questionnaire日本語版(高野・丹野、2008)、Body Awareness Scale:BAS(Fujino, 2012)に回答させた。調査対象者のBASの身体症状および身体感覚への意識の得点については、Time1からTime2にかけて上昇した群(上昇群)と下降した群(下降群)に分けた。分析の結果、身体症状の下降群はTime1からTime2にかけて反芻の得点が有意に減少した。また、Time2における身体症状の下降群は、身体症状の上昇群よりも反芻の得点が有意に低い傾向を示した。次に、身体感覚への意識の上昇群は、Time1からTime2にかけて省察の得点が有意に増加する傾向を示した。また、Time2における身体感覚への意識の上昇群は、身体感覚への意識の下降群よりも省察の得点が有意に高い傾向を示した。本研究の結果から、身体症状の緩和は反芻を減弱させ、身体感覚への意識の向上は省察を促進させる可能性があり、身体意識の変容は反芻および省察の変容に寄与することが明らかとなった。

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