講演情報

[03心-ポ-56]野球の審判員における心理的課題と対策について自由記述質問調査による分析

*西貝 雅裕1、来田 宣幸2 (1. 太成学院大学高等学校、2. 京都工芸繊維大学)
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【緒言】スポーツの審判員も競技選手同様に心理的スキルが必要とされ、審判員を対象とした心理面のサポートや研究が進められている。しかし、アマチュア審判員には多様なバックグラウンドを持つ者がいるため、心理的な課題も様々であり、今後は個人に応じたサポートが重要となる。そこで、野球を対象に自由記述質問調査を用いて審判員の心理的課題や工夫を明らかにすることを目的とした。
【方法】調査対象は124名の野球審判員とし、「困っていること、心配なこと」、「自身の心理面」、「心理面の向上・改善の工夫」の3点についてウェブ上で自由記述式質問調査を行った。
【結果及び考察】困っていることでは、ミスをした際の動揺や失敗を恐れる心理的な不安、他の審判員や選手とのコミュニケーションの難しさ、体力や動体視力の低下への懸念が挙げられた。日常生活では、仕事の忙しさや家庭との両立が困難であることが共通の問題として示され、審判員の高齢化や新規加入者の不足も課題とされた。自身の心理面については、「大舞台での緊張に強い」「切り替えが早い」「冷静な対応ができる」といった長所が挙げられた。一方、「ミスを引きずる」「周囲の目を気にしすぎる」「プレッシャーに弱い」といった心理的な不安や、「決断力不足」「感情的になる」といった行動面の課題が多くみられた。「心理面の向上・改善の工夫」については、ルーティンの重視として試合前の準備や決まった手順を守ることで安心感を得る方法が多くみられ、リラックス方法として深呼吸や遠くを見ることで心を落ち着かせることが挙げられた。他者とのコミュニケーションや他の審判の活動を参考にすることで自信を高める工夫も行われていた。読書や知識の吸収もメンタルの安定に寄与しているとの回答がみられた。

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