講演情報
[03心-ポ-67]プレーヤーのスキル、リスク傾向、およびゲーム展開がリスクテイキングに及ぼす影響ストラックアウトゲーム課題を用いて
*上野 壮士朗1、石川 修2、國部 雅大3、板谷 厚4 (1. 筑波大学大学院、2. 黒松内町立黒松内小学校、3. 筑波大学 体育系、4. 北海道教育大学旭川校)
競技スポーツでは、試合状況に応じてリスクを取るプレー(リスクテイキング)が生じる。しかし、リスクテイキングが発生しやすい試合状況や、プレーヤーのスキルレベルと性格が発生の程度に与える影響については不明な点が多い。本研究はリスクテイキングを定量化できる課題を開発し、個人のスキル習熟度、リスク傾向、およびゲーム展開がリスクテイキングに与える影響を検討した。硬式野球部に所属する大学生22名を対象に、コントロールスキル測定(10 m先の標的に向かって投球したときの誤差)、リスク傾向質問紙(RPQ)、ストラックアウトゲーム課題を実施した。ストラックアウトゲーム課題は、縦横3×3に区画(1区画は30×30 cm)されたネットに向かって10回投球し、命中した区画に配置された得点を獲得するものであった。各区画の得点は、対象者自身がそれぞれの投球前、全9点を9つの区画に割り振ることで決定された。得点の配置されなかった区画やネット外に投球してしまった場合は、その無配点の区画の数だけ減点となる。本課題は、10回の投球で得点を最大化する個人課題と、対戦相手と交互に投げ合い10回投げ終えた時点での得点を競う対戦課題を実施した。コントロールスキル測定によって得られた対象者の投球誤差平均(cm)、RPQ得点、および各ストラックアウトゲーム課題における得点、無配点区画の数(リスクポイント)を測定項目とした。その結果、投球誤差平均と総リスクポイント間(ゲーム全体のリスクポイント総数)で有意な相関を示し(p = 0.034)、リスク傾向と総リスクポイント間では有意な相関を示さなかった。また対戦課題の同点場面における、ゲームフェーズごとのリスクポイント平均に有意な差が認められた(p = 0.020)。これらの結果は、主にスキル習熟度とゲーム展開がリスクテイキングに影響を及ぼしていることを示した。
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