講演情報
[03心-ポ-66]運動学習における認知特性を分類するための叙述語課題の妥当性について
*川本 弥由1、廣光 佑哉1、石倉 忠夫1 (1. 同志社大学)
運動学習において運動イメージを想起することは効果的であるが、イメージの形成には個人差があると考えられているため、本研究では認知スタイル(CS)に着目した。CSは個人の知覚選好に関係するとされ、個人の知覚選好と指導方法が一致するとトレーニングの成果が最大化することが示唆されている。松田(2014)は叙述語課題(PT)を用いて被験者を視覚・聴覚・身体感覚優位の3つのCSに分類したが、運動学習におけるCSに関する研究は不十分であり、PTを用いてCS別に分類した先行研究は見られない。そこで、本研究では身体感覚優位のCSの分類を可能にするためにメンタルローテーション課題(MR)とリーディングスパンテスト(RS)、Vividness of Movement Imagery Questionnaire-KIN(VMIQ-K)の3課題を用いてPTの妥当性を検討することを目的とした。大学生18人を被験者とし、PT、MR、RS、VMIQ-Kの4課題を実施した。PTの視覚、聴覚、身体感覚の3つのCSに関する叙述語数と各CSの叙述語の割合、MRの反応時間と正答率から算出したバランス統合スコア、RSの単語の総再生数、VMIQ-Kの各質問項目の総加算点数を依存変数とし、各依存変数間のピアソンの積率相関係数と偏相関係数を求めた。分析の結果、視覚に関する叙述語の割合が最も多く(M = 45.26 %)、全ての依存変数間に有意な相関係数は認められなかった。松田(2014)はPTにおいて視覚に関する叙述語は聴覚と身体感覚に関する叙述語よりも多く存在するため、実際には聴覚・身体感覚優位のCS傾向にある人も視覚に関する叙述語の割合が高くなるという問題点を挙げており、本研究でも同様の結果が得られた。これより、PTによるCS分類は妥当ではないと結論付け、身体感覚優位のCS分類には別の手法を検討するという課題が残された。
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