講演情報

[10保-ポ-01]幼児期の腸内細菌叢に関する研究山間部、中間部、都市部の比較研究

*高橋 珠実1 (1. 東洋大学)
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【背景・目的】 
 健康に大きく関わると注目されている腸内細菌叢に関する研究について、2021年度より継続して幼児期の食事と腸内細菌叢、そしてからだの健康との関連を検討している。今回は昨年度報告したデータに、都市部の幼稚園に通う幼児のデータを加え、腸内細菌の組成の特徴や多様性、腸内細菌とからだの健康との関連を検討していくことを目的とした。
【方法】 
 研究対象者は山間部の園児(S群)20名、山間部と都市部の中間地域の園児(T群)24名、都市部の園児17名(J群)とした。調査・検査項目は、生活習慣調査、からだの健康調査、および腸内細菌叢検査とした。生活習慣等調査は、独自に作成したものを用い、睡眠習慣、食事習慣、運動習慣等の基本的な生活習慣等の調査を行った。腸内細菌叢検査は、保護者に協力を依頼して幼児の便を収集し、16S rRNAメタゲノム解析をゲノムリード株式会社に委託した。
【結果・考察】 
 門および属レベルの占有率の3群間比較を行った結果、J群(都市部)に特徴的な結果が示された。また属レベルの結果から、BacteroidesとBifidobacteriumを多く保有するBBタイプとPrevotellaを多く保有するPタイプとに分け、各群のBBタイプとPタイプの割合を示したところ、3群間でその割合に違いが認められた。さらに、多様性の3群間比較においても有意差が認められた。保護者が感じる「子どものからだのおかしさ」を調査した、からだの健康調査結果について、合計点の3群間比較に有意差は認められなかった。一方、体調を崩し、園を休む回数の3群間比較を行ったところ、有意差が認められ、S群(山間部)およびT群(中間部)よりも、J群(都市部)の休む回数が多いことが明らかになった。幼児期の環境や生活習慣が腸内細菌叢、そしてからだの健康へ影響を与える可能性が示唆された。

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