講演情報
[09方-ポ-12]意識消失を伴わない脳震盪の発生頻度の実態CRT5(Concussion Recognition Tool 5)を用いて
*成田 泰崇1、吉永 慎也1、廣田 音奏2、石川 芽生子3、小谷 恭子4、河鰭 一彦5 (1. 国士舘大学、2. 大阪産業大学、3. 関西学院大学大学院、4. 帝塚山学院大学、5. 関西学院大学)
2015年米国において公開された「Concussion」はアメリカンフットボールリーグの元選手が慢性外傷性脳症(CTE)に罹患し引き起こされる悲劇をモチーフにしている。ボクシングのように頭=脳に直接ダメージを与える競技ではなく、そのプレースタイルから副次的に引き起こされる頭=脳への外力がCTEを引き起こすことはスポーツ界に衝撃を与えた。頭=脳へ外力が加わって起こる傷害は衝撃傷害でありスポーツ場面での衝撃傷害の典型例が脳震盪である。脳震盪の定義は多岐にわたるが必ずしも意識消失を伴うものではない。我々は「試合中や練習中に意識消失を伴う脳震盪を惹起した場合、現代のスポーツ界では対象選手は手厚い治療等が施される」ことを予想できる。さて、CTEに罹患したスポーツ選手は「意識消失を伴う脳震盪」を常に遭遇していたのだろうか?回答は「否ではないだろうか」なぜなら先述したように意識消失を伴えばプレーは中断され、医療機関のケアーが施される。むしろ「意識消失の伴わない脳震盪に繰り返し晒されるほうが危険なのではないか」という予測が本研究の動機になる。そこで、スポーツ指導者が使用することができるCRT5を利用することとした。このCRT5の「ステップ3:自分で気づく症状」を組み込んだアンケートを作成し資料収集を行った。「自分で気づく症状」経験した選手が「意識消失を伴わない脳震盪」を経験した可能性があると想定した。アンケートには5校の体育大学・体育学部と総合大学1校の体育会学生1063名が参加した(女性354名、男性706名、回答しない3名)。医師や医療関係者から脳震盪と診断された人数は14名であり発生頻度は1.3%であった。CRT5ステップ3の症状を経験した人数は208名(複数回答)であり、発生頻度は19.5%となった。
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