講演情報

[09方-ポ-29]陸上競技中・長距離種目の競技者におけるテーパリング期間中の最終高強度トレーニングに関するメタ分析

*小畠 翼1、林 容市1,2 (1. 法政大学大学院スポーツ健康学研究科、2. 法政大学文学部心理学科)
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テーパリング期間には、トレーニング量を低減させつつ、ディトレーニング効果を抑制する必要がある。そのために,テーパリング期間中、試合の1日前から3日前程度に(小畠ほか、2023)、最終高強度トレーニングを実施する者が多い。しかしながら、テーパリング期間中の最終高強度トレーニングの実施方法については、一貫した見解が得られていない。そこで、中・長距離種目の競技者におけるテーパリング期間の最終高強度トレーニングがパフォーマンスに及ぼす影響について検討することを目的にメタ分析を行った。 
 本研究の目的に沿ったテーパー、ピーキング、強度、ランニングなどをキーワードにPubmed、Scopus、SportsDiscuse、MEDLINEを用いて検索を行った結果、8562件の研究が特定された。これらのうち「よくトレーニングされた中・長距離種目の競技者である」、「テーパリング介入を実施している」、「距離を基準としたTime Trial(TT)を実施している」、「最終高強度トレーニングの内容について記載されている」ことの全てを満たす12件の研究を分析の対象とした。 
 メタ分析の結果、TTに向けた最終高強度トレーニングを、TTから起算して1日前(SMD = 0.64)、3日前(SMD = 0.69)に実施していた場合にパフォーマンスが有意に改善を示した。同様に、TTに用いた距離よりも短い距離を最終高強度トレーニングに用いた場合(SMD = 0.70)およびTTでの走行速度よりも高速で最終高強度トレーニングを行った場合(SMD = 0.65)に、パフォーマンスの有意な改善が認められた。これらから、テーパリング期間中には、目的とする試合の1日前または3日前に、出場する種目よりも短い距離を用いて、試合で想定される走行速度よりも高速で最終高強度トレーニングを行うことが、試合でのパフォーマンスに有益である可能性が示唆された。

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