講演情報

[09方-ポ-34]段違い平行棒における技の体系に関する研究

*村山 大輔1 (1. 京都先端科学大学)
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体操競技の女子種目である段違い平行棒は、2024年現在において264個の技が採点規則によって認定されている(FIG, 2021)。選手はこれらの技の中から任意に選択をして演技を構成する。それらの技は、それぞれどのような構造体系を持っており、他の技との類縁関係や基礎―発展関係がどのようになっているかが明らかにされていないと、習得のための技術トレーニングに取り掛かることが出来ない。この種の領域は、発生運動学における体系論的構造分析の範疇である。
 段違い平行棒における技の構造体系分析は1974年に金子によって「懸垂系」、「支持系」、「跳躍系」の3系に分類され、その後、2017年に仲宗根によって一部改定されている。しかしながら、現代の段違い平行棒における演技構成状況や村山(2023)による始原論的構造分析によるとその改変は急務である。本研究では、段違い平行棒の「懸垂系」に焦点を当て、現代の競技の状況に適合した技の体系を明示することを目的とした。
 方法は、金子(1974)及び仲宗根(2017)の運動表記論に従い、構造分析論(金子,2007)に従って分析された。また、村山による段違い平行棒の技術発達史的分析(2022)及び始原論的構造分析(2023)を下敷きにして、後世へ伝えられる伝承価値を持った技の体系を考察した。
 結果は、懸垂系の体系に大きな変更の必要性を認め、新たな懸垂系の技の体系を構成することが出来た。技の体系分析は、技術トレーニングの方向性を決める重要な知見である。刻々と変化する競技の様相を常に捉え、現代に合った技の体系を示せたことは、トレーニングの現場に寄与できると考えられる。

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