講演情報
[09方-ポ-38]クロスカントリースキー競技を通した地域連携における教育機関や自治体の役割の現状と課題
*井川 純一1、青山 清英2 (1. 日本大学スポーツ科学部、2. 日本大学文理学部)
クロスカントリースキー競技の選手が所属するのは、小・中学校、高等学校および大学などの教育機関が多く、部活動の指導者は教員や地域のコーチが担っている。また、大会開催にあたっては、開催自治体の職員や教員が誘致や大会運営などで重要な役割を担っている。教員は、日常業務に加え部活動の指導も担っていることから、合宿や練習に帯同する負担感の増大や後継者不足などが課題となっている。自治体職員においても、自治体の通常業務に加えて、競技の普及発展や競技会を継続するための準備や運営など多くの業務負担や財政負担が多くなっていることが課題となっている。今後の選手育成や地域スポーツの普及発展を考える上では、教員や自治体の職員の役割を明確にした上で、両者や地域との連携を続けることが重要であるといえよう。そこで本研究では、クロスカントリースキー競技を通した地域連携の事例を取り上げ、そこで生じている現状や課題を当事者の「役割」の観点から明らかにすることを目的とした。方法は、高等学校教職員2名および自治体職員2名の合計4名に半構造化インタビューを実施し、修正版グラウンテッドセオリーアプローチ(M-GTA)を用いて教育および行政機関の役割と地域連携の現状や課題を構造化した。その結果、コアカテゴリー「村の誇り」が生成された。また、サブカテゴリー<教員の役割>、<役場職員の役割>が生成された。教員は生徒の教育やコーチングに対する使命感や指導者の育成が急務であると考えており、役場職員は競技役員と大会運営、仕事との両立や認定コースの維持管理が重要なことが明らかになった。しかし、両者は、ポジティブな考えがある一方で、サブカテゴリーとして大会誘致に伴うネガティブな要因も生成された。コロナや人口減少、競技人口の減少、財政難、後継者不足などの影響により、大会開催の意義を問うネガティブな側面が明らかになった。
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