講演情報

[11-1610-2add]保存期CKDの身体活動管理の実践

西澤 肇 (聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーションセンター 主任)
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2014年〜 聖マリアンナ医科大学病院 (大学病院→横浜市西部→大学病院)
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者に対しては、「腎臓リハビリテーション」として包括的なリハビリテーションの重要性が注目されている。その目的の一つには、末期腎不全(透析や腎移植)への進展抑制・重症化予防があり、運動療法の必要性が高まっている。保存期CKD患者における腎重症化予防を目的とした診療報酬には「糖尿病透析予防指導管理料」や「慢性腎臓病透析予防指導管理料」が存在するが、これらは外来患者が対象であり、算定頻度も月1回に限られる。そのため、実際には外来で運動指導を行い、患者には在宅での非監視下の運動療法を実施していただく必要がある。しかし、非監視下での運動療法には意欲や安全性、継続性などの課題が多い。
 こうした課題を踏まえて、当院では「CKD教育外来」と「ウォーキング教室」の2つの取り組みにより保存期CKD患者の運動指導を行っている。「CKD教育外来」では、多職種による教育の一環として理学療法士が身体機能測定と活動量評価を担当し、得られた歩数データをフィードバックして患者指導を実施している。歩数計を用いることで、歩数や運動量を客観的に可視化し、患者自身の運動成果を確認できるだけでなく、セラピストと共有することで具体的な目標設定が可能となり、運動意欲の向上につながっている。また、歩数計の使用自体が歩数を増加させる報告もあり、セルフモニタリング、カウンセリング、賞賛などの動機づけを組み合わせることで、より効果的な運動支援が可能となる。
 「ウォーキング教室」は年2回開催しており、外来のCKD患者を対象に多摩川の河川敷を実際に歩くプログラムである。医師、管理栄養士、看護師も参加し、運動・栄養・生活管理に関する講義を通して患者の理解を深めている。これらの取り組みにより、患者の活動意欲の向上や運動習慣化への支援につながっていると考えられる。本講演では、これら2つの取り組みを中心に当院で実践している身体活動管理の実際について報告する。

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