講演情報
[11-1610-3add]血液透析患者の身体活動管理の理論
矢部 広樹 (聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 准教授)

2008年:引佐(いなさ)赤十字病院 リハビリテーション科
2011年:医用法人偕行会 名古屋共立病院 リハビリテーション課
2016年:聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科 助教
2021年:聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科 准教授
2011年:医用法人偕行会 名古屋共立病院 リハビリテーション課
2016年:聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科 助教
2021年:聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科 准教授
血液透析(HD)患者の身体活動量は著しく低く、特に透析日は身体活動が制限されるため歩数がさらに減少する。あるメタ解析では、透析患者の歩数は透析日で平均約3,400歩、非透析日で約4,200歩と推定されている。さらにHD患者は座位行動の割合が極めて高く、軽度の身体活動は約3時間程度、中等度以上の身体活動は1日わずか数分未満という極端に低い水準である。少ない日常歩数少はHD患者の生命予後の悪化と関連することから、理学療法士はHD患者の身体活動療量を改善させるための治療方略を検討しなければならない。
透析患者に対して活動量を増加させる方法として、先行研究では歩数計や加速度計を用いた介入により日常歩数が有意に増加することが示されている。歩数目標の設定、ウェアラブル活動量計の配布、定期的なフィードバック面談、ゲーミフィケーションなどの介入も、有意な歩数増加につながることが報告されている。また、歩数増加を促す介入は6か月間の入院日数の減少に影響すること示されている。一方で、包括的なメタ解析では身体活動量に対する介入は全体として小~中等度の改善効果にとどまり、さらに身体機能の改善は統計学的に有意ではないとの報告もある。身体機能の向上のためには、より集中的な運動要素の組み込みや、継続的な介入による長期的トレーニング効果の獲得が重要と考えられる。
身体活動量を増加させるためには、運動の障壁を明らかにし、継続を促す介入を行うことが不可欠である。保存期CKDおよび血液透析患者の運動継続には、慢性疲労、息切れ、筋力低下、透析スケジュールによる時間的制約、施設・費用などの環境要因、抑うつや低自己効力感、社会的孤立が主要な障壁として挙げられる。一方で、自己効力感の強化、家族・医療者・同輩からの社会的支援、病気の受容は運動継続を促進する要因である。介入方法としては、身体機能と自己効力感を高める運動処方に加え、動機付け面接や行動変容理論に基づく個別化カウンセリング、家族・ピア支援、在宅・透析中運動の併用が有効である可能性が示唆されている。透析患者の症状、環境、心理を同時に標的化した個別最適化と長期フォローが運動継続の鍵となる。本講演では、血液透析患者の身体活動量の現状と、介入に必要な理論の概要を解説する。
透析患者に対して活動量を増加させる方法として、先行研究では歩数計や加速度計を用いた介入により日常歩数が有意に増加することが示されている。歩数目標の設定、ウェアラブル活動量計の配布、定期的なフィードバック面談、ゲーミフィケーションなどの介入も、有意な歩数増加につながることが報告されている。また、歩数増加を促す介入は6か月間の入院日数の減少に影響すること示されている。一方で、包括的なメタ解析では身体活動量に対する介入は全体として小~中等度の改善効果にとどまり、さらに身体機能の改善は統計学的に有意ではないとの報告もある。身体機能の向上のためには、より集中的な運動要素の組み込みや、継続的な介入による長期的トレーニング効果の獲得が重要と考えられる。
身体活動量を増加させるためには、運動の障壁を明らかにし、継続を促す介入を行うことが不可欠である。保存期CKDおよび血液透析患者の運動継続には、慢性疲労、息切れ、筋力低下、透析スケジュールによる時間的制約、施設・費用などの環境要因、抑うつや低自己効力感、社会的孤立が主要な障壁として挙げられる。一方で、自己効力感の強化、家族・医療者・同輩からの社会的支援、病気の受容は運動継続を促進する要因である。介入方法としては、身体機能と自己効力感を高める運動処方に加え、動機付け面接や行動変容理論に基づく個別化カウンセリング、家族・ピア支援、在宅・透析中運動の併用が有効である可能性が示唆されている。透析患者の症状、環境、心理を同時に標的化した個別最適化と長期フォローが運動継続の鍵となる。本講演では、血液透析患者の身体活動量の現状と、介入に必要な理論の概要を解説する。
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