講演情報

[12-1200-1add]糖尿病足病変および運動器疾患に対する保存療法の最適解— 即時性・適合性・機能性の観点から —

河辺 信秀 (東都大学 幕張ヒューマンケア学部 理学療法学科 教授)
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1993年:横浜船員保険病院リハビリテ−ション科 
2010年:茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 理学療法学科
2017年:城西国際大学 福祉総合学部 理学療法学科 助教
2020年:東都大学 幕張ヒューマンケア学部 理学療法学科 准教授
2023年:東都大学 幕張ヒューマンケア学部 理学療法学科 教授
 糖尿病足病変の予防戦略において、局所へのメカニカルストレスを軽減させる免荷・除圧(オフローディング)は理学療法の核心的介入ポイントである。一方、成人期扁平足をはじめとする運動器疾患においては、足部アライメントの障害が上行性運動連鎖により高位の関節へのメカニカルストレスとなるため、アーチ機能の再建が不可欠となる。従来、これらの課題に対し靴挿入型インソール(足底装具)が第一選択とされてきたが、作成には時間がかかることや保険適応の問題、本邦特有の室内・裸足生活において介入が困難となる点が臨床上の障壁となっていた。本講演では、これらの課題を克服する新たなアプローチとして、「水で作るインソール」および「まるでいんそーるテープ」の活用法について概説する。
 「水で作るインソール」は、特殊な流体バックへの注水のみで硬化・成形が可能な新規デバイスである。最大の特徴は、座位(半荷重位)において静水圧を利用し、足部形態を包み込むように採型・成形する点にある。これにより、変形や胼胝を有するDMfootに対しても高度なトータルコンタクトが可能となり、機材を用いずにリハビリテーション室や在宅現場にて、即時的な免荷療法を開始できる。また、扁平足障害に対しては、従来のインソールが使用できない環境下での代替手段として「まるでいんそーるテープ」の有用性を提示する。本テープは、靴の形状や室内・裸足といった場面を選ばずに使用できる「貼るインソール」として機能する。舟状骨高を物理的に挙上・保持するアーチサポート機能を有し、継続的なアライメント補正を可能にするものである。しかもテーピング貼り付けのための複雑な技術を必要とせず、短時間で、患者自ら貼り付けが可能である。糖尿病足病変に対する「即時的な免荷」と、扁平足障害に対する「場所を選ばない機能補正」。本講演では、特性の異なる二つのデバイスについて、患者の生活様式に合わせたシームレスなフットケア戦略を提言する。

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