講演情報
[12-1520-1add]基礎研究の側面から
村松 憲 (杏林大学 保健学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授)

2003年:茨城県立医療大学 保健医療学部 理学療法学科卒業
2008年:東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 博士(後期)課程修了
健康科学大学 健康科学部 理学療法学科 助教
2013年:健康科学大学 健康科学部 理学療法学科 准教授
2018年:杏林大学 保健学部 理学療法学科 准教授
2024年:杏林大学 保健学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授
2008年:東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 博士(後期)課程修了
健康科学大学 健康科学部 理学療法学科 助教
2013年:健康科学大学 健康科学部 理学療法学科 准教授
2018年:杏林大学 保健学部 理学療法学科 准教授
2024年:杏林大学 保健学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授
「未来に向けた理学療法研究のあるべき姿」この問いに対する答えを演者は持っていない。正直な話、演者自身も方向が定まらず五里霧中の状態で研究を進めているのが実情である。しかしながら、演者が他分野の研究者と交流する中で、理学療法分野の研究には明らかな「強み」が存在することに気付かされることが多い。そして、その強みの追求こそ、未来に向けたあるべき姿の一つではないかと考える。
私はこれまでに糖尿病モデルラットの運動障害の原因を探る研究の中で、運動ニューロンの障害を発見し、さらに糖尿病の影響が皮質脊髄路にまで及ぶことなどを明らかにしてきた。その頃、ある医科学系の研究者から「せっかく運動ニューロン障害を発見したのだから、研究対象を安易に変えず、その分子メカニズムを明らかにする方向に研究を進めていくのが定石ではないのか?」という助言をいただいたことがある。しかし、臨床/基礎を問わず理学療法に関わる人間であれば、運動障害の原因を探るために運動ニューロン、皮質脊髄路、大脳皮質運動野と運動を制御するシステムを順番に調べていくことは、むしろ当然のことではないだろうか。
私はこの会話の中に我々の「強み」が表現されていると考える。つまり、臓器別あるいは細胞レベルでの要素還元的な研究が主流である現代の医科学研究において、要素間の複雑な相互作用から身体運動制御とその病態生理の理解に特化した理学療法的視点は独特のものであり、そこに理学療法研究の独創性があるのだ。我々の基礎研究は医科学のそれと比べるとはるかに小規模ではあるが、安易に医科学に追従するのではなく、理学療法の独自路線での研究を積み上げていくことが大切ではないかと考えている。
私はこれまでに糖尿病モデルラットの運動障害の原因を探る研究の中で、運動ニューロンの障害を発見し、さらに糖尿病の影響が皮質脊髄路にまで及ぶことなどを明らかにしてきた。その頃、ある医科学系の研究者から「せっかく運動ニューロン障害を発見したのだから、研究対象を安易に変えず、その分子メカニズムを明らかにする方向に研究を進めていくのが定石ではないのか?」という助言をいただいたことがある。しかし、臨床/基礎を問わず理学療法に関わる人間であれば、運動障害の原因を探るために運動ニューロン、皮質脊髄路、大脳皮質運動野と運動を制御するシステムを順番に調べていくことは、むしろ当然のことではないだろうか。
私はこの会話の中に我々の「強み」が表現されていると考える。つまり、臓器別あるいは細胞レベルでの要素還元的な研究が主流である現代の医科学研究において、要素間の複雑な相互作用から身体運動制御とその病態生理の理解に特化した理学療法的視点は独特のものであり、そこに理学療法研究の独創性があるのだ。我々の基礎研究は医科学のそれと比べるとはるかに小規模ではあるが、安易に医科学に追従するのではなく、理学療法の独自路線での研究を積み上げていくことが大切ではないかと考えている。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
