講演情報
[O-1-4]糖尿病性末梢神経障害に対するしびれ同調経皮的電気神経刺激の感覚と重心動揺の改善効果
*永尾 悠1、江草 典政1 (1. 島根大学医学部附属病院)
キーワード:
DM-TENS、糖尿病性末梢神経障害、重心動揺
【はじめに】糖尿病性末梢神経障害(Diabetic Peripheral Neuropathy:以下DPN)では足底感覚低下と四肢遠位のしびれがみられ、体性感覚入力の低下が姿勢制御を損ない転倒リスクを高める。経皮的電気刺激はDPNに起因する足底感覚の回復に有効とされるが、しびれ同調経皮的電気神経刺激(dysesthesia-matched TENS:以下、DM-TENS)をDPNに適用し、しびれ感や重心動揺への効果を検証した報告は乏しい。本症例ではDPNに対するDM-TENSの即時効果と1週間の短期効果を検討した。 【症例】40代男性、診断名は糖尿病性ケトーシス。現病歴は2型糖尿病、うつ病、アルコール依存症、L5腰椎椎間板ヘルニア。両下腿以遠のしびれとふらつきあり。DM-TENSは低周波治療機器(ESPURGE®、伊藤超短波製)を用い、患者の自覚症状に応じてしびれに同調するパラメータを設定した。電極は内果後方の脛骨神経上に貼付し、1日30分、バランス訓練併用下で行った。毎回介入前後にしびれ感の強度を示すNumerical Rating Scale (以下:しびれNRS)、触圧覚、痛覚を測定し、開始時と1週後に重心動揺(グラビコーダGW-5000®、アニマ社製)、SF-MPQ-2、BBS、HADS、PCSを測定した。 【結果】しびれNRSは介入前で8〜9、介入後で4〜5と改善を示したが翌日の介入前は再度8〜9を示した。また、介入前は10 gモノフィラメントを知覚できなかったが、介入後は知覚可能となったが、翌日は再度知覚困難となり、翌日への持ち越し効果は乏しかった。痛覚はアロディニアを呈しており、介入前後で改善なし、もしくは増悪を認めた。1週後、重心動揺は総軌跡長108.23→37.52、外周面積5.71→2.35、単位面積軌跡長18.94→15.98に縮小し、単位軌跡長3.61→3.75 と軽度拡大を示した。BBSは17→42、SF-MPQ-2は合計121→90(持続31→21、間欠35→33、神経30→30、感情25→6)、HADSは不安19→10、抑うつ19→14へと改善した。PCSは反芻20→20、無力感14→11、拡大視6→6であり、無力感のみ改善した。 【結論】本症例より、DM-TENSはDPNにおけるしびれの即時的な軽減と短期的にみた姿勢の安定化を導く可能性が示唆された。
倫理的配慮:
対象者にはヘルシンキ宣言に基づき、本症例に対して症例報告の目的と意義、内容について口頭で十分に説明し、患者本人から文書による同意を得た。
倫理的配慮:
対象者にはヘルシンキ宣言に基づき、本症例に対して症例報告の目的と意義、内容について口頭で十分に説明し、患者本人から文書による同意を得た。
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