講演情報

[O-3-5]血液透析導入疾患別の身体機能・栄養状態についての検討

*清水 賢児1、西濱 美絵1、有元 克彦2 (1. 社会医療法人 創和会 しげい病院 リハビリテーション部、2. 社会医療法人 創和会 しげい病院 腎臓内科)
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キーワード:

透析導入、身体機能、栄養状態

【はじめに】日本透析医学会2023年導入患者の原疾患で最も多いのは糖尿病性腎症で38.3%、次いで腎硬化症の19.3%、慢性糸球体腎炎の13.6%である。また、腎症病期による身体機能の関係性には差を認めず、さらに糖尿病罹病期間やHbA1c、eGFRといった糖尿病性腎症の主な病態評価指標と身体機能にも関連性はなかった。その一方で,年齢と身体機能との間に関連性を認め,高齢になる程身体機能が低下しているということが分かった。そこで今回、透析導入において糖尿病の有無によって身体機能に違いがあるのかを検討し報告する。【対象・方法】対象は、2023年4月から2025年3月までに体力測定を実施した、当院外来血液透析患者、男性129名、女性69、計198名とした。個人因子は、年齢・身長・体重・BMI・透析期間とし、身体機能として、握力・片脚立位時間・SPPB・CS-30。採血データとして、GNRI・nPCR・%CGR・Hbを使用した。透析導入疾患が糖尿病性腎症をDM群と他の疾患をNDM群とし、2群に分けMann-WhitneyU検定を行い比較検討した。【結果】平均年齢69.0±11.7歳。2群間の比較では、DM群59名、NDM群139名であった。個人因子では身長、体重、BMI、透析期間で有意差を認めた。身体機能では、片脚立位時間、SPPB、CS-30で有意差を認めた。データでは、%CGRに有意差を認める結果となった。【考察】 結果より、個人因子として差を認めた項目については、生活習慣病が中心で過栄養の状態であると考えられる。身体機能としては、下肢筋力とバランス能力に差を認めた。これは、糖尿病の特徴である神経障害や下肢筋力低下に加えて、%CGRも低下していることから筋肉量も減少しているサルコペニア状態であると考えられる。さらに、肥満とサルコぺニア合併によるサルコペニア肥満の状態であるため、減量しながら筋肉を増加していかなければならず、適切な運動療法と栄養療法が必要である。【結論】 糖尿病性腎症で透析導入となった患者の方が過栄養で身体機能が低下していることが明らかになった。そのため、運動療法と栄養療法を含めた多職種の介入が重要である。

倫理的配慮:
【倫理的配慮】

 本研究はヘルシンキ宣言を遵守して個人が特定できないようにデータを匿名化して処理し情報の取扱いに十分留意し調査を行った。また、当院倫理委員会の承認(承認番号2025-030号)を受けて作成している。

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