講演情報

[P-1-5]肥満症患者に対する短期間の減量を目的とした教育入院が体組成および身体機能に及ぼす影響

*鎌田 基夢1、斎藤 貴1、友成 健1、山田 めぐみ1、佐藤 紀1、松浦 哲也1 (1. 徳島大学病院リハビリテーション部)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

肥満症、短期入院教育プログラム、身体機能

【はじめに、目的】肥満症は様々な健康障害を引き起こす危険因子である。日本肥満学会ガイドラインでは、3〜6か月間の減量指導を推奨し、減量目標を3〜5%と定めている。しかし、達成率は40〜60%にとどまり、関節痛や筋力低下、通院困難などにより介入の継続が難しい症例も一部存在する。そのため、減量開始初期を支援する目的で入院による短期的介入が行われているものの、その有効性を示した報告は少ない。そこで本研究は、食事療法と運動療法を組み合わせた約2週間の教育入院が体組成と身体機能に及ぼす効果を検討し、減量の達成率を算出した。
【方法】本研究は後方視的コホート研究である。対象は2019年4月〜2025年2月に当院で減量目的の教育入院を受けた肥満症患者とした。入院中は食事療法としてエネルギー制限食を提供し、運動療法として理学療法士が有酸素運動およびレジスタンストレーニングを実施した。主要評価項目は体重、体脂肪量、骨格筋量指数(SMI)、握力、膝伸展筋力体重比、6分間歩行距離(6MWD)であり、入院時および退院時の2点で測定した。統計解析は対応のあるt検定を用いて経時的変化を検討した。統計ソフトはEZR version 1.66を用い、有意水準は5%とした。
【結果】対象は42名の肥満症患者であり、平均年齢は45.6±12.5歳、Body Mass Indexは44.2±9.0kg/m2であった。体重は116.9±26.4kgから111.9±25.2kg、体脂肪量は56.5±17.5kgから54.7±16.9kg、SMIは9.24±1.35kg/㎡から9.03±1.35kg/㎡へ有意に減少した(全てp<0.001)。また、握力は29.5±8.7kgから31.3±8.3kg、膝伸展筋力体重比は0.33±0.10kgf/kgから0.36±0.12kgf/kg、6MWDは427.7±132.2mから474.4±119.4mへ有意に向上した(全てp<0.001)。減量目標を達成したのは21名(50%)であった。
【結論】約2週間の教育入院は、体組成の改善と身体機能の向上を同時に得られ、50%の減量達成率を示した。これらの結果から、3~6か月間の減量指導が困難な症例においても、入院による短期的介入によって体組成や身体機能が改善し、減量目標の達成に寄与する可能性が示唆された。

倫理的配慮:
本研究は徳島大学病院倫理委員会の承認(承認番号:4651)を受け、ヘルシンキ宣言に基づき実施された。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン