講演情報
[P-2-3]急性期循環器疾患を合併する血液透析患者における透析日の理学療法提供制約の実態:単施設後方視的記述研究
*山口 智也1,2、平野 裕真1、岡本 崇志1、大村 朋矢1,2、 大塩 恭久1、山下 瑠姫1、矢部 広樹3、藤倉 知行4、有薗 信一3、山内 克哉5 (1. 浜松医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部、2. 聖隷クリストファー大学院 リハビリテーション科学研究科、3. 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科、4. 浜松医科大学 第一内科、5. 浜松医科大学 リハビリテーション医学講座)
キーワード:
透析患者、リハビリテーション提供時間、透析日・非透析日
【背景】血液透析(HD)患者は心不全などの循環器疾患で入院する頻度が高く,身体機能低下が問題となるため,理学療法が重要である.しかし,HD特有の治療スケジュールや生理的制約(倦怠感,血圧変動,長時間の臥床等)は,透析日の理学療法の減少に寄与する可能性がある.透析日の理学療法制約については臨床的に広く認識されているが,実態を定量的に比較した研究は限られている.本研究は,この重要な課題を数値的に明らかにし,理学療法提供戦略に示唆を与えることを目的とした.
【方法】単施設過去起点型コホート研究であり,2019年1月〜2022年12月に当院へ循環器疾患で入院し,理学療法を受けたHD患者を対象とした.透析日と非透析日のリハビリテーション(リハ)予定日数とリハ実施日から,リハ実施率を算出し,その他1日平均提供時間と総提供時間を算出した.1日平均提供時間は,総提供時間を予定日数で除すことで求めた.例えば20分/日を10日間予定しながら6日間のみ実施された場合は12分/日とした.統計解析はWilcoxon検定を用い,有意水準5%未満とした.
【結果】対象はHD患者88名(男性77.3%,手術72.0%),年齢74(68-80)歳,透析歴6.4(2.5-11.7)年,在院日数は30(20-41.5)日であった.リハ予定日数は,透析日8.0(6.0-14.0)日,非透析日9.0(6.0-13.0)日で有意差は認めず,リハ実施日数は透析日 4.0(2-6.25)日 と非透析日 7.0(4.8-11)日 で有意差を認め(p<0.05),リハ実施率は透析日[50.0(21.0-65.5) %]の方が非透析日[90(80-100) %]よりも有意に低かった(p<0.05).1日平均提供時間は,透析日が12.0(11.1–20)分,非透析日が20.0(19.2–29.4)分,総提供時間は透析日が100(40–140)分,非透析日が200(120–300)分で,いずれも透析日が有意に低かった(p<0.05).
【結論】透析日は非透析日と比較してリハ実施率,1日平均提供時間,総提供時間がいずれも低く,透析日は時間的・生理的制約等により,計画されたリハが十分に実施できない現状が示された.透析日リハの大幅な制約を実証的に示した報告であり,透析中運動療法や非透析日への重点的介入など,新たな理学療法戦略の必要性が示された.
倫理的配慮:
【倫理的配慮】
浜松医科大学臨床研究倫理委員会(23-256)、聖隷クリストファー大学臨床研究倫理委員会(24-066-01)により承認された。
【方法】単施設過去起点型コホート研究であり,2019年1月〜2022年12月に当院へ循環器疾患で入院し,理学療法を受けたHD患者を対象とした.透析日と非透析日のリハビリテーション(リハ)予定日数とリハ実施日から,リハ実施率を算出し,その他1日平均提供時間と総提供時間を算出した.1日平均提供時間は,総提供時間を予定日数で除すことで求めた.例えば20分/日を10日間予定しながら6日間のみ実施された場合は12分/日とした.統計解析はWilcoxon検定を用い,有意水準5%未満とした.
【結果】対象はHD患者88名(男性77.3%,手術72.0%),年齢74(68-80)歳,透析歴6.4(2.5-11.7)年,在院日数は30(20-41.5)日であった.リハ予定日数は,透析日8.0(6.0-14.0)日,非透析日9.0(6.0-13.0)日で有意差は認めず,リハ実施日数は透析日 4.0(2-6.25)日 と非透析日 7.0(4.8-11)日 で有意差を認め(p<0.05),リハ実施率は透析日[50.0(21.0-65.5) %]の方が非透析日[90(80-100) %]よりも有意に低かった(p<0.05).1日平均提供時間は,透析日が12.0(11.1–20)分,非透析日が20.0(19.2–29.4)分,総提供時間は透析日が100(40–140)分,非透析日が200(120–300)分で,いずれも透析日が有意に低かった(p<0.05).
【結論】透析日は非透析日と比較してリハ実施率,1日平均提供時間,総提供時間がいずれも低く,透析日は時間的・生理的制約等により,計画されたリハが十分に実施できない現状が示された.透析日リハの大幅な制約を実証的に示した報告であり,透析中運動療法や非透析日への重点的介入など,新たな理学療法戦略の必要性が示された.
倫理的配慮:
【倫理的配慮】
浜松医科大学臨床研究倫理委員会(23-256)、聖隷クリストファー大学臨床研究倫理委員会(24-066-01)により承認された。
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