講演情報
[P-3-1]健診事業への理学療法士の介入は身体活動量と生活習慣病の改善に寄与できる
*浦谷 明宏1,2、浜野 泰三郎1,2、山本 遼1,2、山本 諒1,2、白石 明継1,2 (1. 倉敷中央病院 リハビリテーション部、2. 倉敷中央病院付属予防医療プラザ)
キーワード:
身体活動量、生活習慣病、健診における理学療法士の介入
【はじめに、目的】生活習慣病の増加は糖尿病をはじめとする代謝疾患の重症化を招き,健康寿命や医療費に大きな影響を及ぼす.運動不足はその主要因であり,健診における運動介入の重要性は高い.当院では2019年より理学療法士が健診に参画した.身体機能評価と個別化された運動指導を行うことは,運動器疾患の早期発見に加え,生活習慣病の予防・改善に寄与する可能性がある.本研究では理学療法士の介入が身体活動量および生活習慣病関連指標に及ぼす影響を検証した.
【方法、あるいは症例】対象は2022年11月〜2025年3月に当院付属予防医療プラザで運動器健診を受診した40〜64歳男性133名のうち,2年連続受診者15名とした.後方視的に,年齢・身長・体重・BMI・腹囲・体脂肪率・HDL-C・LDL-C・中性脂肪・握力・CS-30・片脚立位時間・2ステップ値・指床間距離・身体活動量と調査した. 身体活動量は国際標準化身体活動質問紙(IPAQ)を用い,週当たりの活動時間を歩行と中等度以上の活動に分類した.統計はまず対応のあるt検定で有意差を確認し効果量(d)を算出した.次にSpearmanの順位相関係数を用い,身体活動量と身体機能・生活習慣病関連指標との関連を検討した.統計はEZRを用い有意水準を5%未満とした.
【結果】身体活動量は有意に増加を認め(P<0.05)変化量は歩行が17分/週,中等度以上の活動が16.6分/週であった.生活習慣病関連指標は腹囲と中性脂肪が有意に低下(P<0.05)した.変化量は腹囲-0.8㎝中性脂肪−1.87 mg/dLであった.中等度以上の活動と腹囲には有意に負の相関(r=-0.51)を認めた.また身体活動量の増加はCS-30(歩行r=0.54,中等度以上の活動r=0.59)および握力(歩行r=0.47,中等度以上の活動r=0.52)と有意な正の相関を認めた.
【結論】身体機能評価を基に同世代平均との比較や疾患リスクを提示することは,受診者の気づきを高め,行動変容と身体活動量の増加を促す有効なアプローチとなり得る.しかしその効果は限定的であり生活習慣病予防の観点からは不十分である.健診後の行動変容を持続させる仕組みを構築することが重要である.今後は対象者を拡大し,長期的追跡を行うことで,健診領域における理学療法士の介入意義をより明確にする必要がある.
倫理的配慮:
本研究は,ヘルシンキ宣言に基づき,当院の臨床研究審査委員会の承認(承認番号:4150号)を受けるとともに,収集した個人情報に関しては,当院の個人情報保護規則を遵守し取り扱った.また,当院所定の様式を用いて,研究の目的と概要,対象患者,研究に使用されるカルテ情報等を文面化したものを倫理指針に従って当院ホームページにて対象者へ情報開示と研究参加の拒否権の提示を行った.
【方法、あるいは症例】対象は2022年11月〜2025年3月に当院付属予防医療プラザで運動器健診を受診した40〜64歳男性133名のうち,2年連続受診者15名とした.後方視的に,年齢・身長・体重・BMI・腹囲・体脂肪率・HDL-C・LDL-C・中性脂肪・握力・CS-30・片脚立位時間・2ステップ値・指床間距離・身体活動量と調査した. 身体活動量は国際標準化身体活動質問紙(IPAQ)を用い,週当たりの活動時間を歩行と中等度以上の活動に分類した.統計はまず対応のあるt検定で有意差を確認し効果量(d)を算出した.次にSpearmanの順位相関係数を用い,身体活動量と身体機能・生活習慣病関連指標との関連を検討した.統計はEZRを用い有意水準を5%未満とした.
【結果】身体活動量は有意に増加を認め(P<0.05)変化量は歩行が17分/週,中等度以上の活動が16.6分/週であった.生活習慣病関連指標は腹囲と中性脂肪が有意に低下(P<0.05)した.変化量は腹囲-0.8㎝中性脂肪−1.87 mg/dLであった.中等度以上の活動と腹囲には有意に負の相関(r=-0.51)を認めた.また身体活動量の増加はCS-30(歩行r=0.54,中等度以上の活動r=0.59)および握力(歩行r=0.47,中等度以上の活動r=0.52)と有意な正の相関を認めた.
【結論】身体機能評価を基に同世代平均との比較や疾患リスクを提示することは,受診者の気づきを高め,行動変容と身体活動量の増加を促す有効なアプローチとなり得る.しかしその効果は限定的であり生活習慣病予防の観点からは不十分である.健診後の行動変容を持続させる仕組みを構築することが重要である.今後は対象者を拡大し,長期的追跡を行うことで,健診領域における理学療法士の介入意義をより明確にする必要がある.
倫理的配慮:
本研究は,ヘルシンキ宣言に基づき,当院の臨床研究審査委員会の承認(承認番号:4150号)を受けるとともに,収集した個人情報に関しては,当院の個人情報保護規則を遵守し取り扱った.また,当院所定の様式を用いて,研究の目的と概要,対象患者,研究に使用されるカルテ情報等を文面化したものを倫理指針に従って当院ホームページにて対象者へ情報開示と研究参加の拒否権の提示を行った.
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