講演情報
[P-3-3]認知機能低下を有する高齢慢性腎臓病患者における腹膜透析導入からの経過:症例検討
*夏目 大輝1、矢部 広樹2、清田 明保1、中野 晴香1、大原 はるか3、塩崎 みどり4、春日 弘毅5
1. 医療法人偕行会 名古屋共立病院 リハビリテーション部
2. 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
3. 医療法人偕行会 偕行会セントラルクリニック
4. 医療法人偕行会 名古屋共立病院 消化器外科
5. 医療法人偕行会 名古屋共立病院 腎臓内科
1. 医療法人偕行会 名古屋共立病院 リハビリテーション部
2. 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
3. 医療法人偕行会 偕行会セントラルクリニック
4. 医療法人偕行会 名古屋共立病院 消化器外科
5. 医療法人偕行会 名古屋共立病院 腎臓内科
キーワード:
高齢者、腹膜透析
【はじめに、目的】
高齢の腹膜透析(peritoneal dialysis: PD)患者は認知機能障害やフレイルの有病率が高く、認知機能低下は腹膜炎などの有害事象のリスク因子であり、導入早期の腹膜炎はPD離脱や死亡率上昇に関連する。理学療法士(PT)は身体・認知機能の包括的評価を通じ、PDのセルフマネジメントの評価・向上に資する役割が期待される。本報告は、認知機能と身体機能低下を有する高齢PD患者が有害事象を認めずに経過した症例を提示し、PTによる介入の意義を検討する。
【症例】
70歳代男性。導入原疾患は腎硬化症。既往歴に糖尿病、高血圧、狭心症があり、妻と二人暮らし。PD導入前のADLは自立していた。PDカテーテル挿入と導入目的でX日に入院した。X日の評価ではMoCA-J は22点で軽度認知障害に該当し、身体機能は10m歩行速度1.55m/s、握力31.3kg、膝伸展筋力51.2%、SPPB 9点、FIM 125点、J-CHSは2項目該当しプレフレイルであった。PTは評価結果を他職種と共有し、退院後のAPD手技確認や出口部処置分担計画に関与した。また身体機能低下予防のため、退院後の運動指導やADL指導を実施した。X+1日にカテーテル留置術を施行し、+8日にPDを開始、+21日に退院した。
【結果】
退院後、患者はAPD操作と服薬管理を自立し、出口部処置は看護師が担当するなど、支援が必要な部分を明確に分担する体制が整った。退院後もPD手技の確認や支援を継続でき、導入後5か月間、腹膜炎や出口部感染などの有害事象は認められず、PDを継続できた。
【結論】
本症例は軽度認知障害に該当したものの、視空間・実行機能、注意、見当識は保持されており、PD手技は自立可能であった。一方、記憶や複雑な手順に関わる領域は低下していたため、出口部処置を看護師が担当したことで、退院後もPD手技の確認や支援を継続的に行うことが可能となった。PTは評価結果を共有するとともに支援体制に関与し、身体・認知機能の包括的評価と情報共有を行うことで、安全なPD継続に寄与できると考えられる。
倫理的配慮:
本研究は名古屋共立病院の倫理委員会の承認のもと,患者には口頭および書面にて説明し,同意を得て実施した(承認番号:K159-1)
高齢の腹膜透析(peritoneal dialysis: PD)患者は認知機能障害やフレイルの有病率が高く、認知機能低下は腹膜炎などの有害事象のリスク因子であり、導入早期の腹膜炎はPD離脱や死亡率上昇に関連する。理学療法士(PT)は身体・認知機能の包括的評価を通じ、PDのセルフマネジメントの評価・向上に資する役割が期待される。本報告は、認知機能と身体機能低下を有する高齢PD患者が有害事象を認めずに経過した症例を提示し、PTによる介入の意義を検討する。
【症例】
70歳代男性。導入原疾患は腎硬化症。既往歴に糖尿病、高血圧、狭心症があり、妻と二人暮らし。PD導入前のADLは自立していた。PDカテーテル挿入と導入目的でX日に入院した。X日の評価ではMoCA-J は22点で軽度認知障害に該当し、身体機能は10m歩行速度1.55m/s、握力31.3kg、膝伸展筋力51.2%、SPPB 9点、FIM 125点、J-CHSは2項目該当しプレフレイルであった。PTは評価結果を他職種と共有し、退院後のAPD手技確認や出口部処置分担計画に関与した。また身体機能低下予防のため、退院後の運動指導やADL指導を実施した。X+1日にカテーテル留置術を施行し、+8日にPDを開始、+21日に退院した。
【結果】
退院後、患者はAPD操作と服薬管理を自立し、出口部処置は看護師が担当するなど、支援が必要な部分を明確に分担する体制が整った。退院後もPD手技の確認や支援を継続でき、導入後5か月間、腹膜炎や出口部感染などの有害事象は認められず、PDを継続できた。
【結論】
本症例は軽度認知障害に該当したものの、視空間・実行機能、注意、見当識は保持されており、PD手技は自立可能であった。一方、記憶や複雑な手順に関わる領域は低下していたため、出口部処置を看護師が担当したことで、退院後もPD手技の確認や支援を継続的に行うことが可能となった。PTは評価結果を共有するとともに支援体制に関与し、身体・認知機能の包括的評価と情報共有を行うことで、安全なPD継続に寄与できると考えられる。
倫理的配慮:
本研究は名古屋共立病院の倫理委員会の承認のもと,患者には口頭および書面にて説明し,同意を得て実施した(承認番号:K159-1)
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