講演情報

[P-3-5]2型糖尿病患者における異なる食行動とサルコペニアの負の関連性

*谷 直樹1、山本 悠慎1、安部 諒1、会田 慶太1 (1. 自治医科大学附属さいたま医療センター リハビリテーション部)
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キーワード:

サルコペニア、食行動質問表

【はじめに、目的】
型糖尿病患者(T2DM)の管理において、食事療法は血糖コントロールの根幹をなしている。しかし、特に高齢者においては、厳格な食事制限が総エネルギーやタンパク質の摂取不足を招き、サルコペニアのリスクを高める可能性が懸念されている。一方で、食欲や食行動の個人差が、サルコペニアに与える影響は十分に検討されていない。そこで本研究では、食行動を評価可能な食行動質問表(EQB)の得点とサルコペニアの有病率との関連を検討した。
【方法、あるいは症例】
対象はT2DMの外来患者190名。年齢、性別、BMI、HbA1c、体組成などの臨床データに加え、食行動をEQBで評価した。EQBは総得点と体質や体重、食動機、代理摂食、空腹・満腹感、食べ方、食事内容、食生活の規則性の項目の下位項目7つに分類される。サルコペニアの診断は、アジアワーキンググループ(AWGS 2019)の基準に準拠し、筋力低下と四肢骨格筋量指数(SMI)の低下をもって定義した。サルコペニアの有無とEQBスコアの関連について、ロジスティック回帰分析を用いて解析した。
【結果】
対象の平均年齢は67.4歳で、サルコペニアの有病率は17.8%(34名)であった。サルコペニア群は非サルコペニア群と比較して、EQBの総得点および下位項目の「体質と体重」「食動機」「空腹・満腹感」に関するスコアが有意に低かった。交絡因子を調整したロジスティック回帰分析においても、サルコペニアとEQB総得点(OR:0.96、95%CI0.93-0.98)、および4つの下位項目(体質や体重、食動機、空腹・満腹感覚、食生活の規則性)との間に、有意な負の関連が認められた。
【結論】
本研究において、T2DM患者のサルコペニアとEBQスコアとの間に、有意な負の関連が示された。EBQスコアは、先行研究で肥満やメタボリックシンドロームとの正の関連が報告されており、これらとは対照的な病態であるサルコペニアとの間に逆の関連が見られたのではないかと考える。

倫理的配慮:
本研究は自治医科大学附属さいたま医療センターの臨床研究等倫理審査委員会に承認を得た(倫理番 号: S22-080)。また、ヘルシンキ宣言を遵守した。

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