講演情報

[P-3-6]糖尿病教育入院患者のPAIDによる心理的負担感と身体機能との関連

*岡本 亜香音1、芥川 なおこ1、河野 有亮1、土井 勇人1、竹田 孔明2 (1. 山口県立総合医療センター リハビリテーション科、2. 山口県立総合医療センター 糖尿病・内分泌内科)
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キーワード:

PAID、身体機能、教育入院

【はじめに】
 糖尿病患者は,長期的な薬物療法や生活習慣の是正が必要であり,治療過程で心理的負担を感じやすい.心理的負担感の上昇は,自己効力感やQOLの低下を生じさせる.また,糖尿病療養において,患者の心理的負担感が高いほど,血糖値の上昇やうつ症状との関連が報告されている.しかし,心理的負担感と身体機能の関連についての報告はほとんどみられない.そこで本研究では,当院に糖尿病教育目的で入院した患者のPAIDによる心理的負担感と身体機能の関連について検討した.

【方法】
 2019年5月から2025年7月までに当院に入院した65歳以上の2型糖尿病患者68例(男性35例/女性33例)を対象とした.体組成・身体機能評価【年齢,SPPB,TUG,基本チェックリスト(KCL),ロコモ25,BMI,骨格筋量,体脂肪率,SMI,ECW/TBW,PhA,BMR】,血液データ【Gul,HbA1c,Alb,TP,CRP,Hb,Cr,eGFR】を後方視的に検討した.心理的負担感の評価としてPAIDを使用した.PAID正常群(PAID<40),PAID高値群(PAID≧40)の2群に分け,Mann-WhitneyのU検定,フィッシャーの正確性検定で比較し,ロジスティック回帰分析を用いて心理的負担感と関連のある要因を抽出した(p<0.05).

【結果】
 2群間の比較では,KCLの運動項目とロコモ25に有意差を認めた.有意差のある項目から多変量解析を行い,心理的負担感と関連のある要因としてロコモ25が抽出された(p<0.05).
 先行研究では,糖尿病に関連する苦痛や心理的負担感は,糖尿病治療抵抗性を増加させる要因となり,運動療法に対する意欲が低下することが報告されている.本研究では,PAID高値群はロコモ25が高値であり,心理的負担感が高いと身体機能が低下することが明らかになった.糖尿病患者は合併症により身体機能の低下を伴うことが多く,日常生活に支障が生じることで心理的負担感が上昇したと考えられる.これらのことから糖尿病患者の心理的負担感の上昇には,身体機能が関与していることが示唆された.

【結語】
 PAID髙値群ではロコモ25は高い結果となった.糖尿病教育入院中から身体機能の評価や療養指導を行い,身体機能を向上することで糖尿病患者の心理的負担感の軽減に繋がると考えられる.

倫理的配慮:
山口県立総合医療センター 臨床研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:2024-016番)

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