講演情報

[P-4-1]教育入院および血糖コントロール入院となった2型糖尿病患者における心臓足首血管指数の年齢別比較

*四宮 涼太1、蔭西 亮1、天野 晋1、安部 つかさ1、酒井 悠俉1、中嶋 正明2 (1. 徳島健生病院 リハビリテーション科、2. 吉備国際大学 人間科学部 人間科学科)
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キーワード:

心臓足首血管指数、動脈スティフネス、加齢

【はじめに】糖尿病(DM)は動脈スティフネスの上昇因子である。健常者においては加齢による動脈スティフネスの上昇が報告されているが,入院を要するDM患者においても同様の傾向があるのかは明らかでない。また,昨今のDM患者の高齢化に伴い,より幅広い年齢層での検討が必要である。本研究の目的は,入院を要した2型DM患者における動脈スティフネスの年齢別比較検討を行い,理学療法介入選択の一助とすることである。
【方法】2015-2025年に教育入院および血糖コントロール入院を要した2型DM患者134名を対象とした。研究デザインは後ろ向き横断研究であり,年齢別に40-49歳:14名,50-59歳:19名,60-69歳:44名,70-79歳:42名,80-89歳:15名に群分けした。入院時にVaSera(フクダ電子社製)を用いて測定された心臓足首血管指数(CAVI)の左右平均値を年齢群別に比較検討した。統計解析は一元配置分散分析および多重比較(Bonferroni法)を用いた。さらに,目的変数をCAVI,説明変数を基本属性および生化学パラメータ(年齢,性別,BMI,脳血管疾患の有無,罹病期間,HbA1c,拡張期血圧,triglyceride,eGFR)として重回帰分析を行った。有意水準は5%とした。
【結果】各年齢群のCAVIは,40-49歳:7.20±0.86,50-59歳:8.00±0.87,60-69歳:8.81±1.15,70-79歳:9.55±0.98,80-89歳:10.11±0.91であった。60-69歳,70-79歳,80-89歳のCAVIは40-49歳,50-59歳と比較して有意に高値を示した。60-69歳と比較しても70-79歳,80-89歳のCAVIは有意に高値を示した(p<0.05)。また,年齢はCAVIと独立して関連を認めた(調整済みR2=0.485,B=0.068,p<0.001)。
【結論】入院を要した2型DM患者においてCAVIは加齢に伴い上昇し,特に50-59歳から顕著な上昇を認めた。さらに,本研究対象者のCAVIは先行研究で報告された健常成人よりも高値を示した。これらの結果は,入院を要する2型DM患者に対して,幅広い年齢層で動脈スティフネス改善を目的とした介入が必要であり,加齢によりその重要性がさらに増すことを示唆している。

倫理的配慮:
本研究は当院倫理委員会の承認(承認番号:2024-倫-05)を受けて実施した。対象者には研究内容を院内掲示にて公開し,オプトアウトの機会を設けた。

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