講演情報
[P-4-3]ベルト電極式骨格筋電気刺激法が包括的高度慢性下肢虚血患者の筋厚に与える影響
*手老 泰介1、工藤 元輝1、松木 宏多朗1、皆田 渉平1、今岡 信介1 (1. 社会医療法人敬和会大分岡病院)
キーワード:
包括的高度慢性下肢虚血、ベルト電極式骨格筋電気刺激、筋厚
【目的】包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia: CLTI)は,末梢動脈疾患を背景とし,安静時痛,潰瘍,壊死が2週間以上持続する臨床症候群である.近年,糖尿病患者におけるCLTIの発症率および予後が注目されている.CLTIは複合的要因により下肢切断リスクを有する重篤な病態である.重症化を目的として,免荷管理が必要となるため,高齢者を中心にADLの低下を招く症例を多く経験する.今回,免荷管理が必要となったCLTIに対してベルト電極式骨格筋電気刺激法(以下,B-SES)を用いた介入が身体機能と筋厚の変化に与える影響を検討した.
【方法】研究デザインは,後ろ向き症例集積研究.対象は,2022年1月~2024年12月のうち,入院加療となった40例とし,前後比較ができた19例とした.B-SESを用いた介入は,1日1回20分,刺激条件は,周波数20Hz,パルス幅250μs,収縮時間5秒,休止時間2秒とし,不快感なく耐えられる最大強度で設定した.調査項目は,基本情報,併存疾患の有無,FIM,膝関節伸展筋力,筋厚(大腿直筋,外側広筋,腓腹筋,ヒラメ筋)とした.各項目の前後比較は,Wilcoxonの符号付順位和検定にて検定を行なった.統計解析は,SPSS version26を用い,有意水準は5%とした.
【結果】群間比較において,膝関節伸展筋力,大腿直筋・外側広筋・腓腹筋・ヒラメ筋の各筋厚に統計学的有意差は認めなかった.一方で効果量(Cohen’s d)の算出では,膝関節伸展筋力において,小さい効果量(d ≈ 0〜0.1),大腿直筋および外側広筋の筋厚では小〜中等度の効果量(d ≈ -0.3〜-0.4),さらに腓腹筋およびヒラメ筋の筋厚では中等度の効果量(d ≈ -0.55)が示された.これらの所見は,統計学的有意差には至らなかったものの,B-SES介入が下腿三頭筋を中心とした筋厚維持に関与する可能性が示唆された.
【考察】B-SES介入により統計学的有意差は得られなかったが,腓腹筋およびヒラメ筋において中等度の効果量が認められた.これは免荷管理下における下腿三頭筋の萎縮の予防に寄与する可能性が考えられた.一方で,サンプル数や観察期間の制約が影響した可能性があり,今後は症例数の増加や負荷量の調整を含めた検証が必要である.
倫理的配慮:
本研究は,ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき対象者の保護には十分留意して実施された.また,本研究は大分岡病院の倫理委員会の承諾を得て実施した(承認番号A0086)。研究の概要を当院ホームページにて公開し,研究が実施されることについては対象者が拒否できる機会を保障した.また個人情報の扱いには十分配慮を行った.
【方法】研究デザインは,後ろ向き症例集積研究.対象は,2022年1月~2024年12月のうち,入院加療となった40例とし,前後比較ができた19例とした.B-SESを用いた介入は,1日1回20分,刺激条件は,周波数20Hz,パルス幅250μs,収縮時間5秒,休止時間2秒とし,不快感なく耐えられる最大強度で設定した.調査項目は,基本情報,併存疾患の有無,FIM,膝関節伸展筋力,筋厚(大腿直筋,外側広筋,腓腹筋,ヒラメ筋)とした.各項目の前後比較は,Wilcoxonの符号付順位和検定にて検定を行なった.統計解析は,SPSS version26を用い,有意水準は5%とした.
【結果】群間比較において,膝関節伸展筋力,大腿直筋・外側広筋・腓腹筋・ヒラメ筋の各筋厚に統計学的有意差は認めなかった.一方で効果量(Cohen’s d)の算出では,膝関節伸展筋力において,小さい効果量(d ≈ 0〜0.1),大腿直筋および外側広筋の筋厚では小〜中等度の効果量(d ≈ -0.3〜-0.4),さらに腓腹筋およびヒラメ筋の筋厚では中等度の効果量(d ≈ -0.55)が示された.これらの所見は,統計学的有意差には至らなかったものの,B-SES介入が下腿三頭筋を中心とした筋厚維持に関与する可能性が示唆された.
【考察】B-SES介入により統計学的有意差は得られなかったが,腓腹筋およびヒラメ筋において中等度の効果量が認められた.これは免荷管理下における下腿三頭筋の萎縮の予防に寄与する可能性が考えられた.一方で,サンプル数や観察期間の制約が影響した可能性があり,今後は症例数の増加や負荷量の調整を含めた検証が必要である.
倫理的配慮:
本研究は,ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき対象者の保護には十分留意して実施された.また,本研究は大分岡病院の倫理委員会の承諾を得て実施した(承認番号A0086)。研究の概要を当院ホームページにて公開し,研究が実施されることについては対象者が拒否できる機会を保障した.また個人情報の扱いには十分配慮を行った.
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