講演情報
[P-5-4]肥満症治療剤(セマグルチド)導入による身体機能・歩行機能改善の2症例について
*原島 史哉1、山本 瑞恵2、岩井 花帆2、土橋 さおり3、山本 香4、富田 益臣5 (1. 医療法人社団青泉会下北沢病院リハビリテーション科、2. 医療法人社団青泉会下北沢病院栄養科、3. 医療法人社団青泉会下北沢病院薬剤科、4. 医療法人社団青泉会下北沢病院看護部、5. 医療法人社団青泉会下北沢病院糖尿病センター)
キーワード:
肥満症、GLP-1受容体作動薬(セマグルチド)、身体機能
背景:当院は、足と糖尿病の専門病院で下肢と糖尿病などに影響を与えうる肥満症に対してプログラムを組み食事・運動療法介入を行っている。肥満症治療を希望される患者に対し、外来時から指導を行い、効果が不十分な場合には薬物療法を行っている。しかし肥満症薬物療法による身体機能の変化を報告した事例は少ない。目的:今回、肥満症患者に対して6ヶ月以上の食事・運動療法を実施し、その後肥満症治療剤である持続性GLP-1受容体作動薬(セマグルチド)を使用し体重減少した2症例の身体機能の変化について報告する。対象:症例1: 76歳女性、BMI 30.4 kg/m2、両側変形性膝関節症、糖尿病なし症例2: 63歳女性、BMI 28.9 kg/m2、両側変形性膝関節症、糖尿病なし経過:理学療法士は、外来にて肥満症患者に対してレジスタンス運動や有酸素運動などの指導を実施した。その後体重減少などの効果が不十分な症例に対して、肥満症治療剤の使用前と使用6ヶ月後の身体機能{NRS、握力、体重支持指数(以下WBI)、片脚立位}、身体活動量(IPAQ -sv)、歩行機能などの評価を行い、その結果を基にしての運動療法の指導を行っている。症例1:セマグルチドを使用前後を比較すると、体重は74.0kgから68.8kgに減少し、膝の疼痛に伴うNRSも低下した。歩行速度は、0.7 m/sから1.1 m/sに上昇した。身体活動量は高身体活動から低身体活動に低下した。症例2:セマグルチドを使用前後を比較すると、体重は63.4 kgから60.0 kgに低下を認め、膝の疼痛に伴うNRSも低下した。WBIは、両側とも0.35から0.4以上に上昇した。身体活動量は中身体活動で変化がなかった。2症例ともにWBI、歩行速度、片脚立位時間は改善を認めた。考察:今回セマグルチドによる身体機能、歩行機能の変化を確認した。2症例とも6ヶ月後の身体活動量は上昇せず行動変容までは認められなかった。しかし薬物療法により2症例とも体重が減少し、NRS低下やWBI上昇、片脚立位時間の改善、裸足歩行時の歩行速度上昇は認められたことで今までセルフケア行動の変化が認められなかった症例でも治療は奏功する可能性が示唆された。結語:肥満症患者でセルフケア行動が伴わない患者に対してセマグルチドは身体機能、歩行機能の側面で有効となる可能性があり、今後も症例を蓄積していく必要がある。
倫理的配慮:
当院の倫理規定に基づき、説明と同意を得た。
倫理的配慮:
当院の倫理規定に基づき、説明と同意を得た。
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