講演情報

[P-6-3]理学療法士と看護師が協働してフットケアを行った最初の一例

*前川 直也1 (1. 国保水俣市立総合医療センター リハビリテーション技術科)
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キーワード:

糖尿病足病変、フットケア、多職種連携

【症例】70代、2型糖尿病の女性。足関節蜂窩織炎および糖尿病足病変にて入院。入院中よりリハビリテーションを開始した。退院時に糖尿病看護認定看護師(以下NS)とフットケアの必要性について協議し、外来にて協働しながら継続的な介入を行った。退院時には、足関節・足趾関節の可動域制限、足部筋力低下、靴の不適合(サイズ・形状の不一致など)、歩行障害、皮膚・爪の状態悪化が認められた。理学療法士(以下PT)は、足病変の改善および転倒予防を目的に、足部機能訓練、ホームエクササイズの指導、靴の選定、歩行練習、生活動作指導を実施。NSはセルフケア支援および皮膚・爪のケアを担当した。【結果】足部機能が改善し、靴の選定方法を習得。歩行能力も向上した。セルフケアを習得したことで、皮膚・爪の状態も改善した。【考察】足病変に対して適切な介入を行うことで、将来的な下肢切断のリスク軽減につながるとされている。これまでNSのみが行っていたフットケアにPTが介入することで、目視では確認できない足内部の機能改善や靴の選定支援が可能となった。各専門職の知識と技術を活かした多面的なアプローチにより、皮膚・爪の状態改善に加え、足部の保護および転倒予防にも寄与した。令和4年度の診療報酬改定により、「糖尿病足病変」がリハビリテーション料の病名として算定可能となった。PTは養成課程において、骨・関節・筋肉などの解剖学やバイオメカニクス、歩行に関する知識を学習しており、国家資格取得直後からフットケアに関与することも可能である。しかし、足病変やフットケアに関与するPTは依然として少ないのが現状である。臨床では比較的長時間にわたり患者の足部を観察する機会が得られるため、足病変や足部の状態にまで注意を払う必要があるが、異常に気づいても、対処方法が分からず放置されるケースも少なくない。今後は、フットケアに関心を持ち、異常を発見・対応できる人材の育成や、収益性を含めた持続可能な取り組みが求められる。

倫理的配慮:
本症例報告にあたり、本人より同意を取得し、所属施設の倫理委員会の承認を得た。

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