講演情報

[21-1010-1add]健康行動科学を身体活動向上に活かす

岡 浩一朗

(早稲田大学スポーツ科学学術院 教授
早稲田大学総合研究機構 身体活動・座位行動科学研究所 所長
日本運動疫学会 理事長)
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1999年:早稲田大学人間科学部 助手
2001年:日本学術振興会特別研究員 (PD)
2004年:東京都老人総合研究所 (現東京都健康長寿医療センター研究所) 介護予防緊急対策室 主任
2006年:早稲田大学スポーツ科学学術院 准教授
2012年:早稲田大学スポーツ科学学術院 教授(現在に至る)

 あらゆる世代の国民において身体活動不足ならびに座りすぎの状態が慢性化している。その解消は喫緊の課題であり、様々な取り組みが講じられているものの、十分に解決しているとは言い難いのが現状である。演者は、これまで一貫して健康行動科学(個人や集団の(不)健康行動の過程を心理学や社会学、医学、教育学などの様々な学問領域の知見を用いて理解し、健康増進や疾病予防のための行動変容を促す効果的な介入戦略を構築する研究分野)に基づいた「身体活動不足・座りすぎ」の解消に関する研究に従事してきた。本講演ではその一端について話題提供したい。
 具体的な内容として、話題の前半は国民の身体活動不足に関する実態を示すとともに、活動的な生活を送ることへの動機づけが低い者への関わり方(エンパワメントアプローチ)、活動的な生活を習慣化するための行動変容技法(目標設定のあり方)、身体活動促進への生態学モデルの応用(環境的要因に配慮すること)など、2型糖尿病患者への応用を踏まえた活動的な生活への行動変容を促すための健康行動科学の考え方を活かしたアプローチについて解説する。
 また、話題の後半は「座位行動」に焦点を当てた研究・実践の最新動向について整理する。特に、長時間の座位行動(座りすぎ)と2型糖尿病の関連、2型糖尿病の高リスク成人における長時間連続した座位行動(座りっぱなし)をブレイク(中断)することの急性効果、2型糖尿病患者に対する座位行動を減らすための介入効果の検証などについて、システマティックレビューやメタアナリシスの知見を紹介し、2型糖尿病患者の座位行動変容支援に役立つ情報を共有したい。

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