講演情報
[22-1410-2add]高齢者糖尿病のケアにおける多職種連携の在り方―臨床検査技師の立場から
清水 康平 (東邦大学医療センター大森病院 主任検査技師)

2012年:東邦大学理学部 卒業
2012年:東京大学医学部附属病院 検査部 入職
2015年:CDEJ 取得
2021年:東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
2012年:東京大学医学部附属病院 検査部 入職
2015年:CDEJ 取得
2021年:東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
高齢者糖尿病のケアは、血糖コントロールのみならず、QOLの確保、実現可能なデバイスの選択、認知機能や併存疾患を考慮した包括的なアプローチが求められる。加齢に伴う身体的・認知的変化により、従来型の食事療法・運動療法・薬物療法を一律に適用することは困難であり、個々の患者状態に応じたテーラーメイドケアが必要である。臨床検査技師が関与する糖尿病療養指導として最も想起されるのは、SMBG(自己血糖測定)やCGM(持続血糖モニタリング)など血糖コントロール支援である。近年はデバイスの進化により、音声案内やカラー表示など高齢者にも使いやすい機能を有する機器が増加している。単純に「手技不良」「血糖管理不良」と評価するのではなく、その背景にある身体的・認知的要因、生活習慣、性格特性などを把握し、各メーカー機器の特徴を理解したうえで、必要に応じて他機種への変更を提案することも重要である。また、「高齢者=デバイスが使えない」という先入観は避けるべきであり、近年ではスマートウォッチなどを日常的に活用している高齢者も少なくない。患者の生活背景や関心を理解し、より簡便で継続可能な血糖管理方法を共に見つける姿勢が求められる。年相応の認知機能低下に対しては、反復的な指導が記憶定着に有用である。糖尿病教室や診察室での指導に限らず、採血室や生理検査室などでの短時間の1対1のやり取りも有効であり、繰り返しのアドバイスが理解と行動変容を促す。さらに、糖尿病関連検査に限らず、術前検査など他疾患目的で来院した際の短い会話を通じて支援することも、患者理解と継続支援につながる。QOLの維持・向上は高齢者糖尿病ケアの根幹であり、検査結果から身体機能を推定し、理学療法士など他職種と連携して運動療法や生活指導へと展開することが、より持続的で効果的な療養支援につながると考えられる。
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