講演情報

[22-1410-6add]高齢者糖尿病のケアにおける多職種連携の在り方―看護師の立場から

渡邊 真結 (横須賀共済病院)
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1991年:横須賀共済病院 手術室、整形外科・脳外科混合病棟勤務
2008年:せんぽ東京高輪病院(現 JCHO東京高輪病院)内科混合病棟、外来勤務
2010年:日本糖尿病療養指導士 取得
2011年:糖尿病看護認定看護師 取得
2017年:特定行為にかかる研修 修了
2024年:横須賀共済病院 糖尿病・内分泌科病棟と看護外来兼務
当院における糖尿病関連の入院内訳は、65歳以上が55%、うち75歳以上が35%と高齢者が半数を占めている。特に近隣からの紹介患者については他疾患の併存も多く内服管理であった方も退院時にはインスリン導入となるケースも少なくない。教育入院のクリティカルパスを活用しているが、教育の側面より、治療を継続するための環境調整が重要な看護のポイントになることも多い。しかし、地域において急性期医療を担う当院の特性上、高齢糖尿病患者へインスリン導入を行っても、退院後はかかりつけ医や他の専門クリニックへの逆紹介が多い現状がある。併存疾患や合併症、病型によっては生涯を通してインスリン治療が必要となるが、現在その高齢化が大きな問題となっている。高血糖や低血糖などによる身体的リスクだけでなく、フレイルやサルコペニアといった老年症候群の進行から、在宅でのサポートパーソンの有無、経済状況などの社会背景まで問題は多岐にわたる。高齢糖尿病患者は地域や他施設との協働が欠かせない疾患であることは言うまでもない。しかし病院間もしくは病院と施設、自宅との療養支援の連携には問題や課題も多く、退院後の患者さん支援内容に対し継続して関わることは難しい。
 今年度、地域連携室との協働により近隣のクリニックや施設、ケアマネジャーなどの在宅サポートの方々と勉強会や事前アンケートを通し困難と思われる事例や事象などの問題を抽出することができた。様々な治療環境の中で本人が出来ること、サポートが必要なことなどを多角的にとらえることが重要であり、「どこで」「誰が」「どのように」「何に気を付ける」など治療を支えていく上で病院と地域の間でもその認識を共有する必要があった。
 糖尿病では治療の進歩により注射薬や血糖値のモニタリングツールも多様化しており、高齢糖尿病患者に対する包括的な治療支援には、患者本人のセルフケア能力を高めるための支援だけではすでに成立しない現状がある。疾患管理について多職種が共有認識を持ち患者を取り巻く環境の再構築を含め多職種でその専門性を駆使し支援することが求められている。病態や環境の違いを考慮した個別化医療や継続可能な治療の標準化などへ必要性も謳われ始めている。超高齢社会を前に「これから」を見据えた治療・療養環境について病院からも発信し地域と在宅の切れ目のない連携の在り方を考える。

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