講演情報
[O-4-2]糖尿病患者におけるカルボーネン法を用いた運動強度設定に影響を与える因子の検討
*田中 宏弥1、森田 裕介1、大浦 啓輔1,2、竹内 康雄3、津川 真美子3 (1. 医療法人 信和会 明和病院 リハビリテーション部、2. 医療法人社団ゆみの のぞみハートクリニック天王寺 訪問リハビリテーション部、3. 医療法人 信和会 明和病院 糖尿病・内分泌内科)
キーワード:
カルボーネン法、嫌気性代謝閾値、運動強度
【はじめに】
糖尿病患者に対する運動療法では、心拍数を指標とした運動強度の設定が広く用いられており、心肺運動負荷試験(CPX)で得られる嫌気性代謝閾値(AT)での心拍数は、安全かつ効果的な目標心拍数として推奨されている。一方、実臨床ではCPXの普及に課題があるため、代替手段としてカルボーネン法が汎用されている。カルボーネン法では運動強度係数(k値)を0.4~0.6を目安として設定することが多いが、糖尿病患者では病態や身体機能に応じた調整が必要とされる。しかし、k値に関連する因子ついては十分に検討されていない。本研究では、CPXで得られたATの心拍数をカルボーネン法に代入してk値を算出し、糖尿病患者における適切な運動強度の設定と関連因子の検討を目的とした。
【方法】
対象は、2023年12月から2025年6月に糖尿病の治療目的で当院に入院し、CPXを実施した糖尿病患者61名(62.2±14.6歳)とした。心疾患や不整脈を有する例、ウォーミングアップ中にATを超えた例、β遮断薬の内服例、データ欠損例は除外した。各患者において、CPXにより得られたATの心拍数をカルボーネン法に代入し、各患者のk値を算出した。さらに、診療録より性別、年齢、BMI、推定罹患期間、運動習慣の有無、身体活動量(IPAQ-SV)、HbA1c、細小血管障害(神経障害、網膜症、腎症)の有無、CVR-R値、SPPB、ATを後方視的に収集した。統計解析では、従属変数をk値とし、説明変数を単回帰分析において有意であった項目および臨床的に重要性の高い項目を用いて重回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
k値の平均は0.31±0.09であった。単回帰分析により、網膜症、CVR-R値、SPPB、ATがk値と有意な関連を示した。これらに性別と年齢を含めた重回帰分析では、年齢、CVR-R値、ATがk値と有意に関連した。その他の項目は有意ではなかったが、モデル全体として有意性が認められた。多重決定係数は0.57、自由度調節済み決定係数は0.52であった。全変数においてVIFは2未満であり、多重共線性の問題はなかった。
【結論】
糖尿病患者におけるカルボーネン法のk値は、一般的に推奨される0.4~0.6より低く、年齢や自律神経機能、有酸素代謝能を考慮した運動強度の設定が必要と考えられた。
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に沿って行い、明和病院倫理委員会の承認(承認番号:2025-15)を得て実施した。
糖尿病患者に対する運動療法では、心拍数を指標とした運動強度の設定が広く用いられており、心肺運動負荷試験(CPX)で得られる嫌気性代謝閾値(AT)での心拍数は、安全かつ効果的な目標心拍数として推奨されている。一方、実臨床ではCPXの普及に課題があるため、代替手段としてカルボーネン法が汎用されている。カルボーネン法では運動強度係数(k値)を0.4~0.6を目安として設定することが多いが、糖尿病患者では病態や身体機能に応じた調整が必要とされる。しかし、k値に関連する因子ついては十分に検討されていない。本研究では、CPXで得られたATの心拍数をカルボーネン法に代入してk値を算出し、糖尿病患者における適切な運動強度の設定と関連因子の検討を目的とした。
【方法】
対象は、2023年12月から2025年6月に糖尿病の治療目的で当院に入院し、CPXを実施した糖尿病患者61名(62.2±14.6歳)とした。心疾患や不整脈を有する例、ウォーミングアップ中にATを超えた例、β遮断薬の内服例、データ欠損例は除外した。各患者において、CPXにより得られたATの心拍数をカルボーネン法に代入し、各患者のk値を算出した。さらに、診療録より性別、年齢、BMI、推定罹患期間、運動習慣の有無、身体活動量(IPAQ-SV)、HbA1c、細小血管障害(神経障害、網膜症、腎症)の有無、CVR-R値、SPPB、ATを後方視的に収集した。統計解析では、従属変数をk値とし、説明変数を単回帰分析において有意であった項目および臨床的に重要性の高い項目を用いて重回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
k値の平均は0.31±0.09であった。単回帰分析により、網膜症、CVR-R値、SPPB、ATがk値と有意な関連を示した。これらに性別と年齢を含めた重回帰分析では、年齢、CVR-R値、ATがk値と有意に関連した。その他の項目は有意ではなかったが、モデル全体として有意性が認められた。多重決定係数は0.57、自由度調節済み決定係数は0.52であった。全変数においてVIFは2未満であり、多重共線性の問題はなかった。
【結論】
糖尿病患者におけるカルボーネン法のk値は、一般的に推奨される0.4~0.6より低く、年齢や自律神経機能、有酸素代謝能を考慮した運動強度の設定が必要と考えられた。
倫理的配慮:
本研究はヘルシンキ宣言に沿って行い、明和病院倫理委員会の承認(承認番号:2025-15)を得て実施した。
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