講演情報

[O-4-3]糖尿病性神経障害をもつ高齢患者の機能的フレイル管理への遠隔理学療法介入効果:食行動を考慮したサブ解析

*片岡 弘明1、野村 卓生2,3 (1. 岡山医療専門職大学 健康科学部 理学療法学科、2. 関西医科大学 リハビリテーション学部 理学療法学科、3. 関西医科大学大学院 生涯健康科学研究科 内部障害・産業理学療法分野)
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キーワード:

糖尿病性神経障害、遠隔理学療法介入、食行動

【はじめに、目的】糖尿病性神経障害(DPN)は高頻度で合併し、下肢筋力低下を加速させ、QOL低下を助長するため、特に高齢患者においては介護予防の観点からもDPNと下肢筋力に注目することが重要である。我々は先行研究(TelePhysioT2D trial, UMIN000024416)において、高齢2型糖尿病患者の下肢筋力管理に対する遠隔での理学療法介入(TelePhysio)効果を証明した[Kataoka H, et al. J Diabetes Investig, 2025]。一方、この研究では、特に注目すべきDPNに焦点を当てた検討ができておらず、さらに近年、糖尿病患者におけるサルコペニアやフレイルの進展に食習慣や食行動が関与することが報告されている。そこで本研究では、DPNを有する糖尿病患者に限定して食行動の影響を考慮したTelePhysio効果を検証した。
【方法】TelePhysioT2D trialの高齢2型糖尿病患者74名のうち37名がDPNを有しており、TelePhyio群18名と対照群19名を対象とした。食行動の評価には食行動質問票[川畑奈緒ら, 糖尿病, 2009]を使用し、膝伸展筋力(KEF)と食行動の変化量(6ヶ月間)を検討した。統計解析にはMann–Whitney U検定、Wilcoxonの符号付き順位検定およびχ2検定を用い、有意水準は5%とした。
【結果】介入前後での比較では、対照群でKEFが有意に低下した(p=0.020)のに対し、TelePhysio群では低下を認めなかった。変化量は対照群−1.51 ± 2.69、TelePhysio群0.41 ± 3.06であり、群間で有意差を認めた(p=0.049)。ベースラインでの食行動の比較では、対照群よりもTelePhysio群が有意に低値であったが(p=0.042)、変化量は群間差を認めなかった。
【結論】本研究は、DPNを有する高齢2型糖尿病患者に対するTelePhysioが6ヵ月間のKEF低下を抑制することを示した。食行動質問票の低値は不適切な食行動を意味するが、変化量に有意差はなく、改善を伴わなくてもTelePhysioが筋力維持に寄与した可能性がある。ただし食行動の影響を受けないとは断定できず、食事療法と独立して一定の役割を果たす可能性が示唆された。

倫理的配慮:
本研究はKKR高松病院の倫理委員会の承認を受け、対象者から文書同意を取得して実施した(承認番号:E106)。

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