講演情報

[O-4-5]高齢透析導入期患者の入院関連機能障害に関連する因子の検討

*大野 隼汰1、田畑 吾樹1、三嶽 侑哉1、加藤木 丈英1 (1. 聖隷佐倉市民病院  リハビリテーション室)
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キーワード:

入院関連機能障害、高齢透析患者、透析導入期

【はじめに、目的】
入院関連機能障害(hospitalization-associated disability :HAD)は入院患者の30〜40%以上に発症し,その後の生命予後に関連すると報告されており,HADの予防は重要な課題である.一方で,CKD患者における透析導入期は,体液コントロールやシャント造設などにより,HADのリスクが高い可能性が考えられる.さらに,透析導入年齢は年々高齢化しており,特に高齢透析導入期患者はHAD発症リスクが高いと考えられる.しかしながら,高齢透析導入期患者のHADの有症率やこれに関連する因子について十分に検討されていない.

【方法、あるいは症例】
対象は2023年1月から2025年7月までに当院にてシャント造設し,血液透析を開始した65歳以上の患者40例とした.HADの定義は,先行研究を参考に入院前 BI と比較して退院時BIが5点以上低下した者とした.その他の測定項目は,患者特性,入退院時の血液データ(TP,Alb,BUN,Cr,eGFR,Na,K,CRP,WBC,Hgb),在院日数,計画導入の有無,透析状況(DW,kt/v,除水速度,除水量,体重増加量),初回・退院時の身体機能(握力,SPPB,歩行速度,6MWT)とした.統計学的解析として,HADの有無による2群間の比較には,対応のないt検定およびχ²検定を用いた.
【結果】
HADを認めた人数は全体で12名(33.3%),男性で4名(10%),女性で8名(20%)であった.2群間で有意差を認めた項目は,年齢,身長,DW,在院日数,計画導入の有無,退院時BIであった(p<0.05).
【結論】
本研究では,高齢透析導入期患者の約3割がHADを有しており,HAD群では患者特性に加え,計画導入の有無が有意に関連していた.血液透析の非計画導入の患者は,尿毒症状の遷延化やカテーテルの挿入,シャント造設などによってリハビリテーションの遅延や病棟での身体活動量が低下し,これらがADLの低下に繋がる可能性が考えられる。本研究の結果から,非計画導入の透析導入期患者はHADのリスクが高く,より早期からのリハビリテーションの必要性が示唆された.また,保存期の段階から可能な限り計画的な透析導入スケジュールによって在院日数を減らす必要がある可能性が示唆された.

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