講演情報

[P-8-1]歩行機能維持を目的に下肢救済チームとして介入した踵部潰瘍と足部壊疽の二症例

*瀧原 純1、桜庭 裕香1、宮阪 隼人1 (1. 総合病院土浦協同病院リハビリテーション部)
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キーワード:

歩行、壊疽、理学療法

【はじめに】糖尿病患者は動脈硬化症の発症率が高く、非感染性足病変でも急速に潰瘍や壊疽が進行し下肢切断に至ることがある。治療には診療科や職種を超えたチームでの対応が必要である。今回、踵部潰瘍と足部壊疽の二症例に対して下肢救済チームとして介入した。それぞれの経過と歩行機能が維持できた要因について報告する。
【症例1】50代男性。糖尿病神経障害を認めていた。X年Y月に左踵部に褥瘡を認め、透析施設で処置を開始し、Y+4ヶ月後に当院血管外科を受診した。血流障害を認め、同月に血行再建術を施行し一度治癒した既往がある。Y+13ヶ月後の転倒による左下腿骨折を契機に同部位の褥瘡の悪化から潰瘍化し、骨折による入院リハビリ終了後に加療を再開した。検査の結果、血流は保持されていたが踵部に骨髄炎を認め、Y+22ヶ月後に腐骨除去術を施行した。1ヶ月後に植皮術を施行し、2ヶ月後に退院した。
【症例2】70代男性。20年来の糖尿病に伴う神経障害を認めていた。野焼きの延焼を足で消火しようとして熱傷を受傷した。その後、感染症候を認め入院での創傷管理を開始した。血流評価では中足部までは温存されており、入院後4週後に全足趾切断術と9週後に植皮術を施行した。入院21週後に退院した。
【結果】二症例とも入院直後からリハビリテーションを開始し徒手筋力検査で下肢4レベルの筋力低下と足関節背屈可動域5度の制限を認めた。リハビリテーション内容は患部外を中心とした関節可動域練習や筋力強化運動から開始し、医師と血行や創部の状況を確認し実施した。看護師とは本人を交えて入院生活の注意点や病棟ADLの情報共有を図った。症例1は植皮術後2週後から左下肢荷重を再開し、荷重再開とともにクッション性のあるフットウェア(podowell社製治療用)を貸与し、立位と歩行練習を開始した。症例2は入院2週後からは同フットウェア貸与し踵荷重歩行を開始した。二症例とも歩行能力を段階的に高め、杖歩行を再獲得した。
【結論】二症例に共通した歩行機能が維持できた要因は、①血流保持と創傷管理が適切に行われたこと、②医師・看護師と連携を取りながら理学療法士が介入することで適切な創部の免荷とリハビリを継続できたことが考えられた。

倫理的配慮:
症例には本報告の趣旨を十分に説明し、書面で同意を得た。

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