講演情報
[P-9-4]治療用サンダル装用した糖尿病神経障害患者の歩行力学的特性の変化
*工藤 元輝1、次山 航平2、今岡 信介1 (1. 社会医療法人 敬和会 大分岡病院、2. 熊本総合医療リハビリテーション学院 教育部 理学療法学科)
キーワード:
糖尿病神経障害、治療用サンダル、三次元動作解析
【目的】糖尿病足病変の治療において歩行時の足底圧軽減を目的として治療用サンダルが用いられる。治療用サンダルは歩行時における中足趾節関節の伸展を制限して前足部の足底圧を軽減することが目的であるが,制限の程度は明らかとされていない。また,中足趾節関節の伸展制限に伴う他関節の角度の変化について三次元的に評価した研究は渉猟する限りない。今回,糖尿病神経障害による左母趾胼胝下出血を繰り返す症例に対して治療用サンダルを用いることで起こる歩行時の変化について明らかにすることとした。【対象・方法】対象は70歳女性。測定には三次元動作解析装置VICON(VICON社製)を用いた。マーカー貼付部位はPlug-In-Gait full body modelに膝,足部マーカー左右各6点を追加した全51点とした。解析項目は,歩行速度,ケイデンス,歩幅,前遊脚期における下肢の関節角度とした。さらに,歩行快適性をVisual Analog Scale(以下;VAS)を用いて評価した。VASは0cmを快適,10cmを不快とした。歩行の条件は,条件1:裸足,条件2:左治療用サンダルと対側の補高修正なし,条件3:左治療用サンダルと対側の補高修正ありの3条件とし,各条件の比較を行った。【結果】条件1,2,3において,歩行速度は0.75m/s,0.76m/s,0.79m/s,ケイデンスは107.4steps/min,111.2steps/min,103.7steps/min,歩幅は0.39m,0.40m,0.47mであった。また,条件1,2,3において,左の関節角度は,股関節伸展-3.53±0.52deg,5.53±1.39deg,3.4±1.88deg,膝関節屈曲40.9±0.91deg,49.57±1.88deg,44.6±0.67deg,足関節背屈5.23±1.56deg,12.97±0.71deg,14.43±0.94deg,VASは0.2cm,8.0cm,7.2cmであった。【結論】条件1に対して条件2では,下肢の代償動作が増加し,歩行の快適性は低下した。一方で,対側の補高を修正した条件3では,大関節である股関節,膝関節の代償角度は是正された。このことで,条件3では条件2と比較し歩行の快適性が向上したと考える。以上より,治療用サンダルを装着する際は対側のフットウェアも必要であることが示唆された。
倫理的配慮:
本研究は,ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき対象者の保護には十分留意して実施された。また,本研究は大分岡病院の倫理委員会の承諾を得て実施した(承認番号A0088)。
倫理的配慮:
本研究は,ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき対象者の保護には十分留意して実施された。また,本研究は大分岡病院の倫理委員会の承諾を得て実施した(承認番号A0088)。
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