講演情報
[P-9-5]非代償性肝硬変(Child-Pugh C)の高齢入院患者に対する理学療法の経験
*日比野 貴志1、髙橋 蓮1、松井 明由奈1 (1. 医療法人偕行会 偕行会城西病院 技術部リハビリ課)
キーワード:
非代償性肝不全、Child-Pugh分類、肝臓リハビリテーション
【はじめに】
肝硬変患者に対する運動療法は,Child-Pugh分類Grade AおよびBを対象とした報告で,身体機能や運動耐容能,HRQoLの改善効果が示されている.しかし,Grade Cの重度非代償性肝硬変患者は多くの研究で除外されており,その有効性や安全性は明らかにされていない.高齢化に伴い,非代償性肝硬変患者のリハビリニーズは増加しており,Grade C症例における運動療法の知見は臨床的に重要である.今回,Grade C非代償性肝硬変を合併した高齢入院患者に理学療法を実施した経験を報告する.
【症例紹介】
80代女性.既往歴は肝硬変および大動脈弁置換術.うっ血性心不全にてX-74日に救急搬送.利尿薬と心拍数コントロールで難渋し,肝硬変に伴う低Alb血症を考慮してアミノレバン50 g×2を投与.状態安定後,X日に紹介入院し,X+1日よりリハビリを開始.X+35日に自宅退院した.【経過】
入院時Child-Pugh分類は11点でGrade C.内服薬はフロセミド40 mg,トルバプタン7.5 mg,特殊アミノ酸製剤50 g×2.体重は徐々に増加し,X+13日で入院時より+2.2 kg,X+25日で+3.6 kgとなったため,アゾセミド30 mgおよび特殊アミノ酸製剤50 gを追加投与した.
【結果】
入院時は腹部膨満感を訴えたが他症状はなし.RPE 11で歩行訓練を開始し,1週間後に採血悪化がなかったため自重レジスタンストレーニングを追加.以後,全身状態に留意しRPE上限を13に段階的に設定して実施した.結果,HGは10.3/9.3→11.2/11.6 kg,%WBI 40.2/40.5→31.8/31.5%,10m歩行速度13.1→10.2秒,TUG 12.2→11.9秒,SPPB 9→9点,B.I. 80→90点と一部改善を認めた.
【考察】
Grade C症例は従来除外されており,重度非代償性肝硬変における運動療法の知見は乏しい.本症例では安全性を最優先し,運動負荷を段階的に調整した結果,身体機能およびADLの改善を確認した.これにより,Grade C非代償性肝硬変患者でも,全身状態を評価しRPE 11〜13で段階的に運動を行うことで機能改善が期待できる可能性が示された.本報告は,重症肝硬変患者に対する安全かつ効果的な理学療法の実践指針として臨床的意義を有すると考えられる.
倫理的配慮:
【倫理的配慮】
本研究はヘルシンキ宣言を遵守し,対象者に口頭説明・同意を得た上で,個人情報保護に配慮して実施した.
肝硬変患者に対する運動療法は,Child-Pugh分類Grade AおよびBを対象とした報告で,身体機能や運動耐容能,HRQoLの改善効果が示されている.しかし,Grade Cの重度非代償性肝硬変患者は多くの研究で除外されており,その有効性や安全性は明らかにされていない.高齢化に伴い,非代償性肝硬変患者のリハビリニーズは増加しており,Grade C症例における運動療法の知見は臨床的に重要である.今回,Grade C非代償性肝硬変を合併した高齢入院患者に理学療法を実施した経験を報告する.
【症例紹介】
80代女性.既往歴は肝硬変および大動脈弁置換術.うっ血性心不全にてX-74日に救急搬送.利尿薬と心拍数コントロールで難渋し,肝硬変に伴う低Alb血症を考慮してアミノレバン50 g×2を投与.状態安定後,X日に紹介入院し,X+1日よりリハビリを開始.X+35日に自宅退院した.【経過】
入院時Child-Pugh分類は11点でGrade C.内服薬はフロセミド40 mg,トルバプタン7.5 mg,特殊アミノ酸製剤50 g×2.体重は徐々に増加し,X+13日で入院時より+2.2 kg,X+25日で+3.6 kgとなったため,アゾセミド30 mgおよび特殊アミノ酸製剤50 gを追加投与した.
【結果】
入院時は腹部膨満感を訴えたが他症状はなし.RPE 11で歩行訓練を開始し,1週間後に採血悪化がなかったため自重レジスタンストレーニングを追加.以後,全身状態に留意しRPE上限を13に段階的に設定して実施した.結果,HGは10.3/9.3→11.2/11.6 kg,%WBI 40.2/40.5→31.8/31.5%,10m歩行速度13.1→10.2秒,TUG 12.2→11.9秒,SPPB 9→9点,B.I. 80→90点と一部改善を認めた.
【考察】
Grade C症例は従来除外されており,重度非代償性肝硬変における運動療法の知見は乏しい.本症例では安全性を最優先し,運動負荷を段階的に調整した結果,身体機能およびADLの改善を確認した.これにより,Grade C非代償性肝硬変患者でも,全身状態を評価しRPE 11〜13で段階的に運動を行うことで機能改善が期待できる可能性が示された.本報告は,重症肝硬変患者に対する安全かつ効果的な理学療法の実践指針として臨床的意義を有すると考えられる.
倫理的配慮:
【倫理的配慮】
本研究はヘルシンキ宣言を遵守し,対象者に口頭説明・同意を得た上で,個人情報保護に配慮して実施した.
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
