講演情報

[P-10-2]糖尿病教育入院患者における、運動行動変容ステージとサルコペニア/ダイナペニアについて

*渡邊 淳子1、酒井 幸1、奥村 高弘1、浅見 礼奈1、卯木 智2 (1. 近江八幡市立総合医療センター リハビリテーション技術科、2. 近江八幡市立総合医療センター 代謝・内分泌内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

糖尿病教育入院、サルコペニア、ダイナぺニア

【はじめに】当院では1週間の教育入院の中で、理学療法士による運動療法の集団講義、個別運動指導を行い、個々の生活スタイルを把握し、継続につながる運動指導に努めている。糖尿病患者は健康な人と比べ筋力が優位に低下すると報告されており、短期間の関わりの中で、効果的な運動指導が課題となる。今回、個別運動指導を行った糖尿病教育入院患者に対して、運動行動変容ステージと、サルコペニアの診断基準である骨格筋量指標(SMI)、握力との関連を調査した。
【方法】
2023年6月から2025年7月までの期間に、教育入院で個別運動指導を行った70人に対して、運動行動変容ステージの聴取、in bodyによるSMI、および握力を測定した。(今回得た情報については、個人情報の保護に努め、適切な管理を行うとともに、院内倫理委員会の承認済み)
【結果】
対象者70人(F/M 50/20)、平均年齢61歳。運動行動変容ステージ無関心期は0人、関心期15人(21%)、準備期31人(44%)、実行期2人(3%)、維持期22人(31%)であった。SMIが基準値未満は、全体で16人(23%)。ステージ別では、関心期3人、準備期10人、実行期0人、維持期3人であった。また、握力が基準値未満は、関心期3人、準備期6人、維持期3人であった。握力が基準値未満者は全員、SMIも基準値未満であった。一方、SMIが基準値以上であっても握力が基準値未満者は6人(関心期1人、維持期5人)であった。
【考察】SMIが基準値未満者は、全員が握力も基準値未満であり、握力が筋肉量に反映する指標として有効なことが分かる。維持期においてもSMIと握力が基準値未満者がおり、運動を実施していても効果につながってない可能性がある。また、SMIが問題なく筋肉量が保持されているにも関わらず、握力が基準値未満者が存在し、筋力が低下するダイナぺニアが疑われる者がいた。近年、ダイナぺニアはサルコペニアよりもADL、QOL低下を引き起こすとされており、糖尿病患者では、サルコペニアのみならず、ダイナぺニアの割合が高いといわれている。SMIだけで判断するのではなく、身体機能評価が理学療法士に求められる。運動指導においては、これらの評価をもとに個々に応じた運動指導を行うこと、下肢のみならず、握力を含めた上肢筋力の強化についても意識した指導が求められる。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン