講演情報

[P-10-5]糖尿病患者における食習慣の質と運動機能、体組成、座位行動との関連性の検討:予備的調査

*西村 卓朗1,2、中井 紗智子2、野原 敏樹2、大西 真弓3、藤村 早苗3、片田 美香3、山田 奈緒美5、井窪 万里子4 (1. 北陸大学医療保健学部、2. 南砺市民病院診療技術部地域リハビリテーション科、3. 南砺市民病院看護部、4. 南砺市民病院診療部、5. 南砺市民病院診療技術部栄養科)
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キーワード:

食習慣の質、運動機能、体組成

【はじめに、目的】糖尿病患者では、加齢や病態の進行に伴い、筋量や運動機能の低下が生じやすく、それにより日常生活動作能力の低下を招。こうした機能低下は、食習慣の質とも関連しており、近年では食品群の多様性に着目した「食事の質」が、運動機能や体組成、座位行動を含む生活習慣に与える影響について注目されている。食事の質とは、多様な食品群をバランスよく摂取できているかを総合的に評価するものであり、身体機能の向上に関与する重要な要素である。糖尿病患者では、バランスの良い食事によって筋量や運動機能向上に寄与し、さらには座位時間の短縮や活動的な生活習慣の形成に影響を及ぼす可能性がある。しかし、糖尿病患者における食事の質と、運動機能や体組成、および座位行動との関連性に関する知見は限定的である。そこで本研究では、糖尿病患者を対象に、食事の質と運動機能、体組成、および座位行動との関連を予備的に検討した。
【方法】対象は外来通院中のⅡ型糖尿病患者12名とした。食事の質の評価には食品多様性スコア(Dietary Variety Score:以下、DVS)を用いた。DVSは10食品群について摂取頻度を4段階で評価し(1=ほとんど毎日~4=ほとんど食べない)、各項目で「1」と回答された数を合計した。「1」と回答された数が多いほど、栄養素密度の高い食習慣といわれている。運動機能はShort Physical Performance Battery(以下、SPPB)で評価し、総合得点を算出した。体組成はInBody770を用いて計測し全身、上肢、下肢、体幹の筋量および部位別位相角を取得した。筋量指標は、骨格筋指数(Skeletal Muscle Mass Index、以下SMI)、上肢SMI、下肢SMIを算出し、筋質指標は位相角とした。座位行動時間は、就寝時間を除く1日での座位、臥位の時間と定義した。統計解析はDVS得点とSPPB、体組成指標、座位行動時間との関連について、年齢を制御変数とした偏相関分析により実施し、有意水準は5%とした。
【結果】DVSの総合得点とSPPB総合得点、SMI、位相角との間に有意な相関は認めなかった。一方、DVSの総合得点と座位行動時間には有意な負の相関を認めた。
【結論】糖尿病患者において、食事の質が悪化すると座位行動時間が増加することが示唆された。今後は対象を拡大した検討が必要である。

倫理的配慮:
本研究は南砺市民病院の倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号:第609号)

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