講演情報

[P-11-6]2型糖尿病患者の体脂肪率には身体活動量は寄与するが、骨格筋指数には寄与しない

*安部 諒1、山本 悠慎1、谷 直樹1、会田 慶太1 (1. 自治医科大学附属さいたま医療センター)
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キーワード:

身体活動量、体脂肪率、骨格筋指数

【目的】2型糖尿病患者において低い体脂肪率と高い骨格筋指数(以下SMI)の維持は重要である。理学療法では身体活動量を高めるよう指導するが、座位行動、生活活動、運動の3つの活動区分ごとの独立した影響は不明である。本研究の目的は区分ごとの身体活動量が体脂肪率及びSMIに与える影響を検討することである。
【方法】研究デザインは横断研究とした。対象は2022年12月から2023年8月に当院の内分泌代謝科に通院する2型糖尿病患者とした。アウトカムは体組成計のBIA法を用いて体脂肪率とSMIを測定した。カットオフポイントは体脂肪率は男性25%以上、女性30%以上を高体脂肪率、SMIは男性7.0kg/m2以下、女性は5.7kg/m2以下を低SMIと定義した。身体活動量の測定は簡易身体活動記録の高齢者向け修正版を使用し、身体活動量(METs・時)を3つの区分(座位行動、生活活動、運動)ごとに算出した。統計解析は高体脂肪率、低SMIの有無を従属変数、3つ各々の身体活動区分を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。
【結果】解析対象は96名であった。年齢中央値は 69.5歳、男性59名(61.5%)であった。高体脂肪率は65名(67.7%)、低SMIは32名(33.3%)であった。ロジスティック回帰分析の結果、高体脂肪率のオッズ低下に独立して関連したのは、座位行動(OR:0.94, 95%CI:0.88-0.98)、生活活動(OR:0.96, 95%CI:0.94-0.98)、運動(OR:0.91, 95%CI:0.85-0.96)であった。低SMIには座位行動(OR:0.98, 95%CI:0.94-1.01)、生活活動(OR:0.99, 95%CI:0.98-1.01)、運動(OR:1.02, 95%CI:0.98-1.07)ともに独立した関連を認めなかった。
【結論】高体脂肪率には運動の時間が少ないことが最も影響しており、同じ時間を過ごすのであれば運動が最も効果的である可能性がある。一方、SMIに着目して身体活動区分を変更する意義は低い可能性がある。

倫理的配慮:
本研究は当院の倫理審査委員会の承認を受けて実施した(臨S22-080)。また、対象者にはヘルシンキ宣言に則り本研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た。

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