講演情報
[GP2]スエヒロタケ(Schizophyllum commune)によるアレルギー性気管支肺真菌症の1例
*小澤 和真1、黒田 裕子1、古畑 由紀江1、三浦 勇輔1、岡村 邦彦1、奥山 力也1、後藤 文彦1、室充 充明1 (1. NTT東日本関東病院)
【はじめに】Schizophyllum communeは、枯れ木などに広く腐生している真正担子菌の一種である。近年、感染症例が散見されている。今回我々は、S. communeによるアレルギー性気管支肺真菌症(ABPM) の1例を経験したので報告する。
【症例】60歳台男性。20XX年7月より咳嗽・喀痰を自覚し、CTで左肺炎、肺腫瘤を疑い、当院を紹介受診となった。その後、オーグメンチンとサワシリン投与で 陰影は軽快したが、その2ヶ月後に再燃し、CTにおいて左舌区気管支内に高濃度域があり、粘液栓、部分無気肺を疑い気管支鏡検査で粘液栓を吸引採取した 。
【検査所見】(再燃時)FeNO 32 ppb、末梢好酸球数700/μL、総IgE 137 IU/mL、血清アスペルギルス抗原は陰性であった。
【病理検査】粘液栓および気管支洗浄液中の粘液塊内に好酸球を多数認め、Grocott染色陽性の細長い菌糸が散在し、Y字状分岐からもAspergillus属が疑われた。
【微生物検査】気管支洗浄液の真菌培養では、4日目に白色綿毛状コロニーを認め、ポテトデキストロース培地へ継代培養した。15日目のラクトフェノールコットンブルー染色 において、かすがい連結、棘状突起などS. communeに特徴的な所見が認められた。MALDI Biotyper(Bruker社)ではScore Value 1.75 で、S. commune が示唆された 。その後も培養を継続した結果、二次菌糸体から子実体様構造が形成され 、ITS領域配列解析によりS. communeと同定された。
【経過】以上により、S. communeに起因したABPMと診断された。再燃時からテリルジーの継続投与と粘液栓除去により、その後は再燃もなく経過は良好である。
【まとめ】本症例は当初、臨床症状及び病理検査の結果からもAspergillus属に起因したABPM と考えらえていたが、長期間培養を継続するなかでS. communeに特徴的な担子菌所見が確認されたことから専門機関に遺伝子解析 を依頼することで、正確な菌種の同定に繋がった教訓的な症例を経験した。
連絡先 電話:03-3448-6412 E-mail:kazuma.ozawa.ek@east.ntt.co.jp
【症例】60歳台男性。20XX年7月より咳嗽・喀痰を自覚し、CTで左肺炎、肺腫瘤を疑い、当院を紹介受診となった。その後、オーグメンチンとサワシリン投与で 陰影は軽快したが、その2ヶ月後に再燃し、CTにおいて左舌区気管支内に高濃度域があり、粘液栓、部分無気肺を疑い気管支鏡検査で粘液栓を吸引採取した 。
【検査所見】(再燃時)FeNO 32 ppb、末梢好酸球数700/μL、総IgE 137 IU/mL、血清アスペルギルス抗原は陰性であった。
【病理検査】粘液栓および気管支洗浄液中の粘液塊内に好酸球を多数認め、Grocott染色陽性の細長い菌糸が散在し、Y字状分岐からもAspergillus属が疑われた。
【微生物検査】気管支洗浄液の真菌培養では、4日目に白色綿毛状コロニーを認め、ポテトデキストロース培地へ継代培養した。15日目のラクトフェノールコットンブルー染色 において、かすがい連結、棘状突起などS. communeに特徴的な所見が認められた。MALDI Biotyper(Bruker社)ではScore Value 1.75 で、S. commune が示唆された 。その後も培養を継続した結果、二次菌糸体から子実体様構造が形成され 、ITS領域配列解析によりS. communeと同定された。
【経過】以上により、S. communeに起因したABPMと診断された。再燃時からテリルジーの継続投与と粘液栓除去により、その後は再燃もなく経過は良好である。
【まとめ】本症例は当初、臨床症状及び病理検査の結果からもAspergillus属に起因したABPM と考えらえていたが、長期間培養を継続するなかでS. communeに特徴的な担子菌所見が確認されたことから専門機関に遺伝子解析 を依頼することで、正確な菌種の同定に繋がった教訓的な症例を経験した。
連絡先 電話:03-3448-6412 E-mail:kazuma.ozawa.ek@east.ntt.co.jp
