講演情報
[GP5]急激な経過を辿り死亡した患者より検出されたPseudomonas aeruginosaの1例
*飛知和 澄子1、柴﨑 彩歌1、園部 忠則1 (1. 公益財団法人 日産厚生会 玉川病院)
【はじめに】Pseudomonas aeruginosaはブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌であり、院内感染による日和見感染症の代表菌として広く認識されている。今回、急激な経過を辿り死亡した緊急搬送患者より検出されたP. aeruginosaについて報告する。【症例】30代女性。特記すべき既往歴はなし。発熱・下痢・呼吸困難を主訴として当院に緊急搬送された。CT検査により右肺下葉にすりガラス陰影と浸潤陰影を認めた。DIC・重症細菌性肺炎・脱水症・腎障害・肝障害・電解質異常と診断され入院となった。感染症に対してはPIPC/TAZ投与開始されたが皮疹が出現したためCFPMへ変更された。入院より6時間後、頻呼吸・下肢チアノーゼ・末梢神経障害が出現し、再度CT検査を施行したところ右肺底部に急速な浸潤陰影の拡大を認めたためLVFXを追加。8時間後に意識レベルおよび血圧が低下。9時間後に心停止となり死亡が確認された。【微生物学的検査】搬送時に採取された血液培養は10時間後に好気ボトルが陽性となりグラム陰性桿菌を認めた。MicroScan WalkAway(ベックマン・コールター社)にてP. aeruginosaと同定された。薬剤感受性試験では、IPMが8μg/mlと耐性であったが、MEPMやセフェム系抗菌薬剤には感受性であった。病理解剖にて提出された右肺組織からもP. aeruginosaが検出された。【まとめ】P. aeruginosaは市中肺炎の起因菌となる割合は2%以下であり、さらに健常者に発症することは稀である。また緑膿菌院内肺炎に比べ激烈な経過を辿り、死亡率も高い。報告されている緑膿菌市中肺炎の症例では、検出されるP. aeruginosaは比較的多剤耐性菌は少ないとの報告があり、本症例も多剤耐性傾向は認められなかった。本症例を経験し、重症細菌性肺炎は起因菌としてP. aeruginosaの可能性も想定し、検査を行うことが必要であると考えられた。この経験を今後の業務に活かしてゆきたい。公益財団法人日産厚生会玉川病院 細菌検査室 03-3700-1151(内線4125)
