講演情報
[GP17]当院における機能性難聴の検査について
*木下 愛1、栗田 亜実1、秋田 直美1、中村 香代子1、發地 詩織2、角田 篤信3 (1. 順天堂大学医学部附属練馬病院 2.順天堂大学医学部附属練馬病院病理診断科 3.順天堂大学医学部附属練馬病院耳鼻咽喉・頭頚科)
【はじめに】機能性難聴は聴覚器官に異常が無い非器質性難聴であり心因性難聴と詐聴がある。器質性難聴との鑑別が必須であり、他覚的聴力検査が必要となる。今回われわれは、当科で経験した機能性難聴について報告する。【対象・方法】2016年4月~2025年8月に機能性難聴疑いで耳鼻咽喉科を紹介・受診した65例を対象とした。耳鼻科医による病歴採取ならび鼓膜や外耳道の観察の後、純音聴力検査、ティンパノメトリー、DPOAEを全例に施行。必要に応じ、アブミ骨筋反射試験(SR)、聴性脳幹反応(ABR)を施行した。使用した機器は純音聴力検査機器:RIONオージオメータAA-H1、ティンパノメトリー:RIONインピーダンスオージオメータRS-22、DPOAE:RION DP Echoport ER-30A、ABR:日本光電ニューロパックMEB2312である。【結果】65症例中20例には純音聴力と他覚聴力検査所見の乖離が見られず、6例は正常聴力、7例は感音難聴、7例は伝音難聴を呈した。45例(69.2%)には乖離が見られ、機能性難聴と診断した。性別は男性10例、女性35例と女性が多く、年齢は7歳~54歳で平均は14.9歳、中央値10.5歳であり、8歳が7例と最も多かった。オージオグラムは水平型が22例、低音障害型が14例、高音急墜型が4例、聾が5例であった。ティンパノメトリーは全例A型、DPOAEは全例で放射が得られた。低音障害14例にはSRが行われ全例に反射が診られた。13例は確認のためABRを施行したが全例反応が得られた。これら症例は病歴等とあわせて心因性難聴と最終診断された。【考察】本検討では機能性難聴症例は全例心因性と診断され、最頻値8歳、中央値10.5歳と学童に多く従来の報告と一致した。DPOAEは主に中高音の放射を検出対象としており、低音障害型難聴では純音聴力との乖離を捉えることが難しい場合が多く、本検討での低音障害14症例では、乖離が診られなかった。SRは低音域でも正確な検出が容易であるが伝音難聴で反射は得られない。低音障害14症例ではSRで反射が診られ純音聴力との乖離があり機能性難聴と診断された。両検査とも小児においても簡便かつ短時間で施行可能であり、検査における患者負担も少ない。通常の外来診療内で診断がつけられるため、両者の組合せは機能性難聴検査に有用と考える。
Gmail:a.kinoshita.lm@juntendo.ac.jp 電話番号:090-3197-0829
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