講演情報

[GP19]血友病性関節症に対する関節エコー導入の取り組み

*秋山 忍1、田岡 萌望1、後藤 紀子1、小野田 佳代1 (1. 東京医科大学病院)
【背景】
血友病性関節症は、関節内出血の反復により滑膜炎や軟骨破壊を引き起こす進行性疾患で、早期診断と介入が不可欠であり、MRIに代わる簡便かつ即時性のある画像診断法として関節エコーの有用性が近年注目されている。今回、当検査室における血友病患者に対する関節エコー導入プロセスとその評価方法を示し、臨床現場での活用と、実施施設の拡大・拡充を進める足掛かりとすべく、   検査画像等、検査の実状を報告する。
【対象・方法】
血友病AまたはB型患者 ・使用機器:高周波リニアプローブ搭載の超音波診断装置
評価部位:膝関節、足関節、肘関節を中心に、MartinoliらのプロトコールHEAD-USに準拠した   スキャンを実施 ・評価項目:滑膜肥厚、関節液貯留、骨軟骨病変、血腫の有無を評価。
【結果】
関節エコーにより、X線では検出困難な滑膜炎や関節液貯留を高感度で描出可能であった。特に、滑膜の増殖や血腫の判別においてプローブ圧迫による動態評価が有効であった。MRIとの相関も  良好であり、日常診療における迅速な評価ツールとしての有用性が示唆された。
【考察】
関節エコーは、非侵襲的かつ即時性のある診断法として血友病性関節症の早期発見・治療方針決定に貢献する。特に小児患者や多関節評価が必要な症例において、MRIの代替スクリーニング検査として有効である。
【結語】
血友病患者に対する関節エコーの導入は、疾患進行の抑制とQOL向上に寄与する可能性が高く、現時点では検査断面の多さや煩雑さが目立つが、検査の簡素化なども検討されており、今後の   標準的診療ツールとしてのさらなる普及が期待される。