講演情報

[P05-01]インド・オーストラリアプレートの沈み込みに伴うジャワ島下の3次元温度構造モデリング

*岡澤 健太1、末永 伸明2、吉岡 祥一1,2 (1. 神戸大学 大学院理学研究科 惑星学専攻、2. 神戸大学 都市安全研究センター)
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1.はじめに
インドネシアのジャワ海溝では、ユーラシアプレートの下にインド・オーストラリアプレートが北北東方向に約7cm/yrの速度で沈み込んでいる。1994年にはジャワ島の南東沖でMw 7.8の海溝型大地震が発生しており、Bilek and Engdahl (2007) によりそのすべり分布が求められている。沈み込み帯のプレート境界地震が発生する領域の温度構造を求めることは、Blanpied et al. (1995)などによる室内実験で明らかにされている温度に依存するすべりの摩擦特性を考えるうえでも重要である。Syracuse et al. (2010) は、世界の沈み込み帯に位置する56ヶ所の地域で、プレートの沈み込みに伴う2次元の温度構造モデリングを行っており、ジャワ島周辺地域もそれに含まれている。そこでは、沈み込むプレート上面の堆積層と海洋地殻上部からの脱水は島弧下に達する前に起こる可能性が示唆されている。しかし、先行研究では3次元の温度構造は求められていない。本研究では、ジャワ島南東沖で発生した上記の地震のすべり域を含むようにモデル領域を設定し、3次元熱対流数値モデルを構築することで、インド・オーストラリアプレートの沈み込みに伴う温度構造を求めた。また、ジャワ島の島弧上には、ジャワ海溝にほぼ平行に火山列が分布している。得られた温度構造から、沈み込む海洋プレートの最大含水量を相図を用いて計算し、脱水勾配を求めることで、スラブ内の脱水と火山列との関連性についても検討した。

2.手法
モデル領域は、海溝軸方向に540 km、その直交方向に500 km、深さ200 kmの箱型に設定し、格子間隔はそれぞれ15 km、5 km、2.5 kmとした。各格子点で、質量保存則、運動量保存則、エネルギー保存則の支配方程式をタイムステップごとに解き、計算開始から20 Myr後の温度構造を現在の温度構造とした。また、プレート形状やプレートの沈み込み方向の空間的な差異を考慮してモデルを構築した。沈み込む海洋プレート上面の3次元形状にはHayes et al. (2018) のslab2モデルを用いた。数値シミュレーションで得られた温度構造の妥当性を評価するため、Lucazeau (2019) による地殻熱流量データを用いた。初期温度分布に関する見かけ上の年齢と、プレート境界での有効摩擦係数を未知変数とし、上記の地殻熱流量データと、得られた温度構造から計算される地殻熱流量値の残差の2乗和が最小となるモデルを最適なモデルとした。また、得られた温度構造とスラブの含水鉱物の相図を用いて、最大含水量分布を求めた。その際、スラブ上面から鉛直下方向に2.5 kmを堆積層、その下5 kmまでを海洋地殻、その下からスラブ底面までをスラブマントルとして扱った。

3.結果
最適モデルにおいて、沈み込む海洋プレート上面の温度分布は、上面深度の東西での差異の影響がやや見られたが、等温線がおよそ海溝に平行に分布していた。また、上記の海溝型大地震のすべり分布ですべりが1 m以上の領域は、Hyndman et al. (1997)らにより、脆性―塑性転移が完了するとされている450℃の等温線より浅い領域に分布していた。スラブ内の脱水について、堆積層と海洋地殻からの脱水は島弧より海溝側で起こり、火山列の直下とその周辺では、主にスラブマントルからの脱水が生じる結果となった。

4.謝辞
本研究の数値計算では、Tackley and Xie (2003) によるStag3d とその改良版を使⽤させていただいた。データ解析やモデリングでは、Iwamoto et al. (2024) のプログラムを参考にさせていただいた。